建設業許可が取得出来ない場合とその対策
この記事で分かること
この記事では建設業許可を取得できないケースとその対策について理解できます。建設業許可を取得するには
「経営業務管理責任者の経営経験」「専任技術者要件」「財産要件」の3つの要件を満たす必要があります。ま
た、建設業法で定められた欠格要件に該当していないことが必要です。この記事では、建設業許可が取得できな
い具体的なケースとその対策についてご説明致します。
建設業の許可要件については下記記事もご参照ください。
建設業許可の許可要件①ー経営業務管理責任者の経営経験について
許可を取得できないケース
日々お客様から建設業許可取得のご相談を頂く中で、許可取得が出来ない場合は主に下記の通りです。
①5年の経営経験を満たす経営業務管理責任者がいない。
②該当資格を保有している人が社内に居らず、10年の実務経験を満たす専任技術者がいない。
③財産要件の500万円を超える預金がない。
④税金や社会保険料を滞納しており、納税証明書や社会保険の領収書を提出できない。
⑤各許可要件は満たしているが、それを証明する必要書類や確認資料を提出できない。
上記のほか、建設業法で定められた欠格要件に該当している場合には申請しても不許可になります。
欠格要件については下記でご説明いたします。
欠格事由について
申請者の方が下記の事由に該当する場合は許可を受けることができません。
また、許可申請書の添付書類中に重要な事項について虚偽の記載がある場合や重要な事実の記載が欠けていると
きは、許可を受けられません。
建設業許可の欠格事由
・破産手続きの決定を受けて復権を得ない方
・建設業法第29条第1項第7号又は第8号に該当したことにより一般建設業許可又は特定建設業許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しない方
・上記取り消しの処分に係る聴聞手続き中に建設業許可の廃止届出をした方でその届出の日から5年を経過しない方
・上記の手続き中に法人の役員や一定の使用人であった方で上記届出の日から5年を経過しない方
・建設業法第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止中の方
・許可を受けようとする建設業について建設業法第29条の4の規定により営業禁止中の方
・禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5
年を経過しない方
・建設業法又は一定の法令の規定により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない方
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない方
・精神の機能の障害により建設業を適正に営む能力を有しない方
・営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が欠格事由に該当する方
・法人でその役員等又は一定の使用人が欠格事由に該当する方
・個人で一定の使用人が欠格事由に該当する方
・暴力団員等がその事業活動を支配する方
上記の詳細については下記サイトより手引きもご参照ください。
許可を取得するための対策
上記許可を取得できない場合ケースに該当する場合でも下記対策を取ることで解消される場合があります。
①5年の経営経験を満たす経営業務管理責任者がいない場合
個人事業主ご本人や会社の代表者が5年の経営経験を満たさない場合でも、5年の経営経験を有する人物を支配人
や役員として選任することで、要件を満たすことができます。その後、個人事業主本人や法人の代表者が5年の経
営経験を満たすことになった時には経営業務管理責任者の変更をすることが出来ます。経管として選任する方は
常勤である必要がありますので、非常勤では要件を満たしません。健康保険証の写しや雇用保険者証の写し等で
常勤性を証明する必要がありますので注意が必要です。
②該当資格を保有している人が社内に居らず、10年の実務経験を満たす専任技術者がいない場合
専任技術者は出向社員でも良いとされています。社内に専任技術者要件を満たす人がいない場合には、取引先に
在籍している社員で資格や実務経験の要件を満たす人を出向社員として招き入れ、専任技術者とすることで要件
を満たすことが出来ます。①と同様に専任技術者は「専任」であることが求められるので、勤務状況や給与の支
払い状況、人事権の状況等は当該会社に存するような形態をとっている必要があります。
③財産要件の500万円を超える預金がない場合
取引先の金融機関に「500万円以上の融資証明書」を発行してもらう方法があります。この融資証明書とは、金
融機関がその企業に対して融資をしてもよいとする証明書になります。取引先金融機関の信用度が高い場合には
発行して貰えますが、ハードルは少し高いです。発行手数料が約1万円程掛かります。
④税金や社会保険料を滞納しており、納税証明書や社会保険の領収書を提出できない場合
建設業許可申請の際は、所得税や法人税の納税証明書ではなく、県税事務所が発行する事業税の納税証明書を提
出します。したがって直近の事業税の納税が済んでいれば建設業許可の申請自体は可能です。また、確定申告を
していることも特に許可要件とはされていませんので、未申告の場合でも申請は可能です。社会保険料について
は、雇用保険料や健康保険料・厚生年金保険料の直近の領収書の提出が求められます。ですので、直近の社会保
険料については、最低限納付を済ませておく必要があります。
⑤各許可要件は満たしているが、それを証明する必要書類や確認資料を提出できない場合
確認資料としての請求書等や確定申告書類、社会保険料等の領収書が提出できない場合が考えられます。物によ
っては、公的機関に請求して再発行が可能なものもありますので、行政書士等の専門家に書類収集をご依頼され
ることをお勧め致します。
まとめ
この記事では建設業許可を取得できないケースとその対策、欠格事由についてご説明しました。すぐに許可申請
が難しいケースでも後の申請に備えて必要書類を事前に準備していくことで、適時にスムーズに許可申請をする
ことが可能になります。他の行政書士に建設業許可を取得できないと言われた、必要書類が収集できず途中で申
請を諦めたという方でも対応できる可能性がありますので、お気軽に当事務所までご相談ください。
お問い合わせは下記お問い合わせフォームよりよろしくお願いいたします。
投稿者プロフィール
- 【スタートアップ行政書士事務所 代表/行政書士】
佐野 太一(さの たいち)
2022年3月開業。愛知県あま市にて行政書士事務所を経営。
専門分野は建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、補助金申請。
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