管工事業の専任技術者要件について解説
建設業許可における専任技術者要件とは
建設業許可を受ける上で許可要件の一つとなっている専任技術者要件について解説します。専任技術者とは、営業所に常勤して建設工事の技術的な管理を行う者をいいます。
一般許可の場合、専任技術者となれる者は①一定の資格を有する者、②10年以上の実務経験を有する者、③所定学科を卒業後、3年以上又は5年以上の実務経験を有する者です。
①一定の資格を有する者
取得したい業種に対応した一定の資格を有する者が該当します。必要となる資格は一般許可と特定許可で異なります。資格にはいわゆる1級2級資格に加えて、職業能力開発促進法の検定職種、登録基幹技能者講習等が該当します。
建設業許可申請の際は、資格者証の写しの添付が求められます。
②10年以上の実務経験を有する者
取得したい業種につき、10年以上の実務経験を有することという要件です。見習い期間の業務も実務経験には含みますが、単に雑務のみ行っていたような場合は含みません。
また愛知県の場合、複数の業種に従事していた場合には、その期間が業務の割合によって按分されます。例えば建設工事の15年の実務経験のうち、管工事と大工工事を1:1の割合で行っていた場合には、管工事に関する実務経験は7.5年分しか認められません。
実務経験については、実務経験証明書に具体的な工事内容や施工期間を記載して提出することで、証明します。
③所定学科卒業後、一定期間の実務経験を有する者
また、高校や大学の所定学科を卒業していると証明が必要な実務経験の年数が短縮されます。高校卒業の場合は5年以上、大学卒業の場合は3年以上の実務経験があれば足ります。
所定学科は取得する建設業の業種によって異なります。また上記は一般許可に関する専任技術者の要件であり、特定許可の場合はその要件は異なります。詳細は下記の記事もご参照ください。
管工事業の専任技術者要件とは
管工事業における一定の資格
一般許可における管工事業の専任技術者として認められる資格は、下記の通りです。
管工事業の専任技術者資格
・一級管工事施工管理技士※
・二級管工事施工管理技士
・技術士法の機械「熱・動力エネルギー機器」又は「流体機器」・総合技術監理(機械「熱・動力エネルギー機器」又は「流体機器」)※
・技術士法の上下水道・総合技術監理(上下水道)※
・技術士法の上下水道「上水道及び工業用水道」・総合技術監理(上下水道「上水道及び工業用水道」)※
・技術士法の衛生工学・総合技術監理(衛生工学)※
・技術士法の衛生工学「水質管理」・総合技術監理(衛生工学「水質管理」)※
・衛生工学「廃棄物・資源循環」・総合技術監理(衛生工学「廃棄物・資源循環」)※
・給水装置工事主任技術者(交付後実務経験1年要)
・検定職種の冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管
・検定職種の給排水衛生設備配管
・検定職種の配管(選択科目「建築配管作業」)・配管工
・検定職種の建築板金(選択科目「ダクト板金作業」)
・建築設備士(取得後1年の実務経験要)
・一級計装士・計装(合格後1年の実務経験要)
・登録基幹技能者講習の登録配管基幹技能者、登録ダクト基幹技能者、登録冷凍空調基幹技能者
※の資格は、特定建設業許可の場合でも専任技術者要件を満たします。
管工事に該当する建設工事の例
管工事業の工事内容としては、下記のようなものが該当します。
冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事
この説明だけでは分かりずらいですが、建設工事の例示としては、下記のような工事が挙げられます。
管工事の例示
冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事
エアコンの取付工事は電気工事と間違われることがありますが、管工事に当たります。また、飲食店における厨房設備工事は、内装工事ではなく管工事に当たります。
管工事業の場合に該当する所定学科
また管工事の学歴要件である所定学科は下記の通りです。
管工事業の所定学科
土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
管工事業におけるQ&A
管工事業に関するお問い合わせでよく頂くものについて、お答えします。
ガス給湯器本体やエコキュートの交換工事は建設業許可のどの業種に当たりますか?
給湯設備工事は建設業許可の業種のうち「管工事業」に該当します。
管工事で建設業許可を取得する場合、2級管工事施工管理技士補でも専任技術者になれますか?
2級管工事施工管理技士補では、専任技術者の要件を満たしません。ですので、実務経験か学歴要件で専任技術者要件を満たしている必要があります。なお、「2級管工事施工管理技士」であれば要件を満たします。
現在管工事の特定建設業許可を取得していますが、1級管工事施工管理技士の資格を取得している者が退職予定です。他の社員では2級管工事施工管理技士を取得している者しかいません。この場合、特定建設業許可から一般建設業許可へ変更しないといけないのでしょうか。
特定建設業許可から一般建設業許可への変更が必要になります。2級管工事施工管理技士では特定建設業許可の専任技術者要件としては認められておらず、また4,500万円以上の工事につき2年以上の指導監督的実務経験があっても、管工事業は指定建設業に当たるため、必ず特定建設業の要件を満たす資格を保有している者が必要だからです。
まとめ
建設業許可の業種である「管工事業」の取得に必要な専任技術者要件について解説しました。建設業許可を取得する時だけでなく、許可を維持するのには要件を満たしている専任技術者が常に社内に存在する必要があります。
ですので、従業員の退職リスクに備えて準備をしておくことは、事業を継続する上で重要になります。新規で取得をご検討の方も、既に取得済みの方でもご不明点がありましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
- 【スタートアップ行政書士事務所 代表/行政書士】
佐野 太一(さの たいち)
2022年3月開業。愛知県あま市にて行政書士事務所を経営。
専門分野は建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、補助金申請。
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