初めてでもわかる!塗装工事業の取得要件と重要ポイントを徹底解説

塗装工事業の建設業許可とは?

 塗装工事業の建設業許可とは、一定以上の金額の塗装工事を請け負うために必要な国の許可です。外壁塗装や屋根塗装などの仕事をしている方が、事業を続けていく中で必要になることがあります。

 塗装工事では、1件の工事金額が500万円(税込)以上になる場合、原則として建設業許可を取得しなければなりません。この許可を持たずに高額な工事を請け負ってしまうと、法律違反となり、指導や罰則の対象になることがあります。

また、建設業許可があると、

  • 元請会社から仕事を任せてもらいやすくなる
  • お客様からの信用が高まる
  • 将来、仕事の規模を大きくしやすくなる

といったメリットもあります。

 そのため、「今は小規模な工事が中心だけれど、今後は大きな仕事にも挑戦したい」と考えている塗装業者の方にとって、建設業許可はとても大切なものです。

建設業許可が必要な工事金額の基準

 建設業許可が必要かどうかは、1件ごとの工事金額で判断されます。塗装工事業の場合、1件の工事請負金額が500万円(税込)以上になると、建設業許可が必要です。マンションやビル等の大型の改修塗装工事の場合、すぐに超えてきてしまう金額ですね。

 また、材料費や足場代なども含めた請負金額の合計で判断されます。「請求書を分けて出せば大丈夫!」と思われがちですが、その場合でも実際は1件の建設工事である場合には請求書の金額が合計されるので、注意が必要です。

 たとえ注文者(お客様)が材料を用意する場合であっても、その材料の市場での価格運送にかかる費用を含めた金額で判断されます。「材料はお客様が用意するから工事金額は安い」と考えてしまいがちですが、実際には材料代も工事の金額に含めて考える必要があります。そのため、請負代金だけを見るのではなく、工事全体の金額がいくらになるのかを確認することが大切です。

 なお、500万円未満(税込)の塗装工事のみを請け負っている場合は、原則として建設業許可は不要です。ただし、将来的に大きな工事を受ける可能性がある場合は、早めに許可取得を検討しておくと安心です。

塗装工事業が該当する「29業種」の位置づけ

 建設業許可では、建設工事の内容ごとに29の業種が定められています。これは、「どのような工事を行う会社なのか」をはっきり分けるための分類です。

 塗装工事業は、この29業種の中のひとつで、建物や構造物の表面に塗料や塗材を塗る・貼る・吹き付ける工事を行う業種として位置づけられています。具体的には、

  • 外壁や屋根の塗装工事
  • 鋼構造物の塗装工事(鉄骨や橋など)
  • 路面標示工事
  • 溶射工事やライニング工事、布張り仕上工事

などが塗装工事業の対象になります。

 また、下地調整工事やブラスト工事(塗装前に表面を整える作業)は、塗装工事を行うための準備作業として含まれるため、別途の許可は必要ありません。つまり、塗装工事業の許可があれば、これらの準備作業も問題なく行うことができます。

 建設業許可を取得する際は、自分の行っている工事内容に合った業種を選ぶ必要があります。塗装工事を専門に行っている場合は、「塗装工事業」の許可を取得することが基本です。

 建設業許可の29業種につきましては、下記記事も参考にしてください。

建設業許可29業種の種類一覧と解説 - スタートアップ行政書士事務所

許可を取得するメリット・取得しないリスク

塗装工事業で建設業許可を取得するかどうかは、事業の規模や将来の展望に大きく関わります。ここでは、取得するメリットと、取得しない場合のリスクをわかりやすく整理します。

【取得するメリット】

  • 元請会社や公共工事からの仕事を受けやすくなる
  • お客様や取引先からの信用が高まる
  • 将来的に大きな工事や高額工事にも対応できる
  • 法律を守って安心して事業を続けられる
  • 金融機関から融資を受けやすくなる。
  • 技能実習生、特定技能で外国人を雇用し、人材不足を解消できる。

【取得しないリスク】

  • 1件の工事金額が500万円以上の場合、法律違反となる
  • 違反が発覚すると指導や罰則を受ける可能性がある
  • 信用面で不利になり、大きな工事や公共工事を受注できない
  • 事業拡大のチャンスを逃す

塗装工事を長く続け、将来的に規模を拡大したい場合は、早めに建設業許可を取得しておくことが安心です。

塗装工事業の建設業許可|取得要件をわかりやすく解説

 塗装工事業で建設業許可を取得するには、法律で定められたいくつかの条件(要件)を満たす必要があります。「経営に関する条件」「技術者に関する条件」「財産的基礎に関する条件」など、聞きなれない言葉もありますが、順を追って整理すれば決して難しいものではありません。

 ここでは、初心者の方でもわかるように、取得に必要な要件を具体例やポイントと一緒にわかりやすく解説していきます。この章を読めば、どの条件を満たせば建設業許可が取得できるのか、全体像がつかめるようになります。

経営業務の管理責任者(経管)の要件

 建設業許可を取得するには、会社や事業を安全・適切に運営できる人、つまり「経営業務の管理責任者(経管)」が必要です。経管には、法律でいくつかの条件が定められています。初心者でもわかるようにまとめると次の通りです。

  1. 経営経験があること
    • 個人事業主として、または法人の役員として5年以上の建設業経営経験があること。
  2. 社会保険に加入していること
    • 法律上求められる健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入していることが必要です。
  3. 過去に重大な法的制限がないこと
    • 破産者で復権していない場合
    • 建設業許可の取り消しや禁固以上の刑を受けてから5年経過していない場合
    • 暴力団員でなくなってから5年経過していない場合
    • 成年被後見人や被保佐人などの制限を受けていない場合 等

簡単に言うと、経管とは会社や工事を責任を持って管理できる人で、社会的・法的に信頼できることが求められます。

営業所技術者の要件(資格・実務経験)

 建設業許可を取得するためには、現場で工事を安全に適切に行える技術者が必要です。これを「営業所技術者」と呼びます。

営業所技術者になるためには、主に次の2つの条件があります。

  1. 資格を持っていること
    • 国家資格や都道府県が認める技術者資格を持っていることが必要です。
    • 塗装工事業では、建築塗装技能士や建築施工管理技士(塗装)などが代表的です。
  2. 実務経験があること
    • 資格がなくても、10年以上の塗装工事の実務経験があれば営業所技術者として認められます。
    • 実務経験は実務経験証明書という書類に過去の建設工事の内容を記載して証明します。

 簡単に言うと、営業所技術者とは現場で安全に塗装工事を実施できる「現場の責任者」です。許可を受けるには、必ずこの要件を満たす人を営業所に置く必要があります。

財産的基礎の要件(500万円要件)

 建設業許可を取得するには、会社や事業が一定の財産的な基礎を持っていることも必要です。これを「財産的基礎の要件」と呼びます。塗装工事業では、500万円以上の自己資本や預貯金があることが必要です。

 この要件は、事業を安全に運営できるか、工事代金の支払いなどに問題がないかを確認するためのものです。具体的には、500万円以上の預金残高証明書や融資証明書を提出して証明します。

 簡単に言えば、建設業許可を受けるためには、「お金や資産の面で事業を支えられる力があること」が求められるということです。

誠実性の要件

 建設業許可を取得するには、会社や個人、そしてその役員や営業所の責任者が、工事契約に関して不正や不誠実な行為をするおそれがないことが条件となります。これは「誠実に事業を運営できるか」を確認するためのルールです。

1. 不正行為と不誠実な行為とは

  • 不正な行為
    請負契約を結ぶときや工事を行うときに、詐欺・脅迫・横領・文書偽造など、法律に違反する行為をすること。
  • 不誠実な行為
    工事の内容や工期、天災などによる損害の負担について、契約に違反する行為をすること。

 簡単に言うと、契約を守り、法律を守って工事を行えるかがポイントです。

2. 免許取消などの経歴がある場合

  • 法人の場合は、会社そのものや役員、支店長や営業所長など一定の従業員
  • 個人事業主の場合は本人や一定の従業員

が、過去に建築士法や宅建業法などに違反して不正・不誠実な行為を行い、免許や許可の取り消しを受けた場合、最終処分から5年以内だと原則、許可要件を満たさないとされます。

3. 継続的に許可を受けて事業を行っていた場合

  • 許可を受けて継続して建設業を営んでいる方は、過去に不正や不誠実な行為をしていない限り、この基準を満たすと扱われます。

 簡単にまとめると、「過去に大きな違反歴がなく、契約や法律を守って工事を行える人や会社であること」が誠実性の要件です。

塗装工事業で営業所技術者になれる資格・実務経験

 建設業許可を取得するためには、営業所に塗装工事を安全に実施できる専任の技術者が必要です。この「営業所技術者」になるには、資格を持っている場合と、一定の実務経験がある場合のどちらかを満たす必要があります。

 資格があるとスムーズに認められますが、資格がなくても、過去に塗装工事の現場で十分な経験を積んでいることを証明できれば営業所技術者として認められる場合があります。

 ここでは、塗装工事業で営業所技術者になるために必要な資格や実務経験について、初心者の方にもわかるように具体例やポイントを整理して解説します。

国家資格で認められる主な資格一覧

 塗装工事業の営業所技術者になるうえで、国家資格や登録資格を持っていると条件を満たします。資格によっては、合格しただけで認められるものと、合格後に一定期間の実務経験が必要なものがあります。

 ここでは、代表的な資格をわかりやすく整理しました。

1. 資格のみで専任技術者になれるもの

資格を取得すれば、追加の実務経験がなくても専任技術者として認められる資格です。

  • 一級土木施工管理技士【一土施】
  • 一級建築施工管理技士【一建施】
  • 二級建築施工管理技士(種別:仕上げ)
  • 二級建築施工管理技士(種別:鋼構造物塗装)
  • 検定職種:路面標示施工
  • 登録建設塗装基幹技能者
  • 登録外壁仕上基幹技能者
  • 登録標識・路面標示基幹技能者
  • 検定職種:塗装・木工塗装・木工塗装工
  • 検定職種:建築塗装・建築塗装工(S48年度以前の合格者)
  • 検定職種:金属塗装・金属塗装工(S48年度以前の合格者)
  • 検定職種:噴霧塗装

2. 資格取得後、一定期間の実務経験が必要なもの

合格だけでは足りず、現場での一定年数の実務経験を積む必要がある資格です。

  • 一級土木施工管理技士補(合格後3年の実務経験要)
  • 二級土木施工管理技士(種別:土木又は薬物注入)(合格後5年の実務経験要)
  • 二級土木施工管理技士補(合格後5年の実務経験要)
  • 一級建築施工管理技士補(合格後3年の実務経験要)
  • 二級建築施工管理技士(種別:建築又は躯体)(合格後5年の実務経験要)
  • 二級建築施工管理技士補(合格後5年の実務経験要)
  • 一級造園施工管理技士【一園施】(合格後3年の実務経験要)
  • 一級造園施工管理技士補(合格後3年の実務経験要)
  • 二級造園施工管理技士(合格後5年の実務経験要)
  • 二級造園施工管理技士補(合格後5年の実務経験要)

実務経験で営業所技術者になる場合の注意点

資格がなくても、塗装工事の現場で一定期間の実務経験があれば、営業所技術者として認められます。しかし、実務経験で専任技術者になるには、いくつか注意すべきポイントがあります。

1. 経験年数を満たしていること

  • 資格がない場合は、原則10年以上の実務経験が必要です。
  • 土木工学や建築学の高等学校卒業者は5年以上、同学科の大学や専門学校卒業者は3年以上にそれぞれ短縮されます。

2. 経験内容を証明できること

  • 実務経験証明書に、年1件ずつ施工や監督をした建設工事の内容を記入して証明します。
  • 証明者は基本的に当時の使用人ですが、廃業している場合は建設業許可を持つ取引先企業の代表者による第三者証明が必要です。

簡単に言うと、「必要な経験年数を満たすこと」と「その経験をきちんと証明できること」が、実務経験で営業所技術者になるための大切なポイントです。

実務経験証明でよくある不備・NG例

 実務経験で営業所技術者になるためには、経験内容を正確に証明することがとても重要です。しかし、以下のような場合は、実務経験として認められないことがあります。

  1. 塗装工事以外の業務しか行っていない場合
    • 建設工事の雑務だけをしていた場合は、その期間は塗装工事の経験として認められません。
  2. 複数の工事を同時に行っていた場合
    • たとえば塗装工事と防水工事を並行して行った場合、塗装工事の経験年数はその割合分だけしか認められません。
    • 例:10年間のうち、塗装工事7割・防水工事3割で作業していた場合 → 塗装工事として認められるのは7年分のみ。
  3. 2業種以上を同時に実務経験として証明する場合
    • 2つ以上の業種をまとめて実務経験で証明することも可能ですが、最低20年分の実務経験を正確に記載する必要があります。
    • 過去の工事内容を正確に思い出して記載することは、現実的には非常に難しいと思います。

簡単に言うと、「塗装工事としてカウントできる内容か」「期間が重複していないか」「正確に証明できるかが、実務経験証明で最も注意すべきポイントです。

その営業所に専任かつ常勤であること

 建設業許可の営業所技術者は、その営業所に常勤し、専らその職務に従事する「専任」の技術者であることが求められます。

  • 専任とは
    その営業所に勤務し、ほかの業務と兼任せず、専ら職務に従事することをいいます。社員であれば、勤務状況や給与、人事権などに基づいて判断されます。出向社員でも条件を満たせば営業所技術者として認められます。
  • 常勤とは
    役員や社員が、本社や本店を除く休日以外は、毎日所定の時間勤務して職務に従事している状態を指します。
  • 専任・常勤と認められない例
    1. 営業所から通勤が困難な遠方に住んでいる方
    2. 他の営業所で専任を要する職務に就いている方
    3. 建築士事務所の管理者や専任宅建士など、他の法令で専任を要する業務をしている方
    4. 個人営業や他の法人での常勤役員など、他の業務に専念している方
  • 補足
    経営業務の管理責任者と専任技術者を同じ人物で兼任することは、主たる営業所が同じ場合に限り可能です。

簡単に言うと、「その営業所で毎日しっかり勤務して塗装工事の業務に専念している人」でなければ、営業所技術者として認められません。

塗装工事業の建設業許可申請の流れ

 塗装工事業で建設業許可を取得するには、申請から許可取得までにいくつかの手順があります。初めて申請する方にとっては、書類の準備や条件の確認など、どこから手を付ければよいか迷いやすい部分です。

 ここでは、申請前の準備から書類提出、許可の交付までの流れを、初心者の方にもわかりやすくステップごとに解説します。
 この章を読むことで、申請手続きの全体像を把握し、スムーズに建設業許可を取得するためのポイントが理解できます。

申請前に準備すべき書類一覧

 建設業許可を申請する際には、会社や事業の状況、技術者の資格・勤務状況、過去の工事実績などを証明する書類を事前に揃えておくことが重要です。
 法人と個人事業主では必要な書類が少し異なります。

法人の場合

  • 直近3期分の決算報告書一式
  • 過去5年分の建設工事の請求書と入金記録
  • 経営業務の管理責任者・営業所技術者の標準報酬額決定通知書
  • 営業所技術者の資格者証
  • 直近の健康保険・厚生年金の領収書
  • (雇用している場合)直近の労働保険概算・確定保険料申告書
  • (雇用している場合)直近の労働保険料の領収書
  • 定款
  • 役員全員の「登記されていないことの証明書」および身分証明書
  • 会社の登記事項全部証明書
  • 事業税の納税証明書

個人事業主の場合

  • 直近5年分の確定申告書一式
  • 過去5年分の建設工事の請求書と入金記録
  • 営業所技術者の資格者証
  • 直近の健康保険・厚生年金の領収書(適用除外の場合は不要)
  • (雇用している場合)直近の労働保険概算・確定保険料申告書
  • (雇用している場合)直近の労働保険料の領収書
  • 本人の「登記されていないことの証明書」および身分証明書
  • 事業税の納税証明書

申請に必要な書類に関しましては、下記サイトの愛知県許可の手引きもご参照ください。

建設業許可申請手引・様式ダウンロード - 建設業・不動産業室~建設業・宅地建物取引業・不動産鑑定業~ - 愛知県

申請から許可取得までの期間の目安

 塗装工事業の建設業許可を申請してから、実際に許可が交付されるまでの期間は、おおむね2か月程度が目安です。

 この期間には、書類の提出後の審査・確認作業や、必要に応じた追加書類の提出などが含まれます。初めて申請する場合でも、事前に必要書類を揃えて、正確に申請することで、スムーズに許可を取得することができます。

 簡単に言うと、「書類準備から許可交付まで、およそ2か月かかる」と考えておくと安心です。

知事許可と大臣許可の違い

 建設業許可には、知事許可大臣許可の2種類があります。

  • 知事許可
    • 営業所を1つの都道府県内にのみ設置する場合に取得します。
  • 大臣許可
    • 営業所を複数の都道府県に設置する場合に必要です。

 ポイントとして、施工する現場の所在地は許可の種類には関係ありません。つまり、知事許可を取得している場合でも、全国どこの都道府県であっても500万円以上の塗装工事を施工することが可能です。

 簡単に言うと、「営業所の数と場所」で知事許可か大臣許可かが決まると覚えておくとわかりやすいです。

営業所とは何か

建設業許可でいう「営業所」とは、以下の条件に該当する場所を指します。

  1. 本店や支店、または常時建設工事の請負契約を締結する事務所
    • 建設工事の契約を日常的に行う場所です。
    • 見積もり、入札、契約書作成など、契約に関する実務を行う事務所が該当します。
    • 契約書の名義人がその事務所の代表であるかどうかは問いません。
  2. 建設業に実質的に関与する場合も営業所とみなされる
    • 本店や支店に関しては直接契約を行わなくても、他の営業所に対して契約に関する指導・監督を行うなど、建設業の営業に実質的に関与している場合は営業所に含まれます。
  3. 営業所の範囲に注意
    • 許可を受けた業種について、軽微な工事のみを請け負う場合でも、届出している営業所以外ではその業種の営業活動を行うことはできません

簡単に言うと、「建設工事の契約に関わる事務所、または実質的に建設業の営業に関与している本店・支店」が営業所と考えればわかりやすいです。

初めての許可申請で失敗しやすいポイント

 建設業許可の申請は、初めて行う場合、書類の不備や条件の勘違いなどで申請が受理されなかったり、審査に時間がかかったりすることがあります。

 特に、営業所技術者や経営業務の管理責任者の要件、実務経験の証明、必要書類の準備などは細かい規定が多く、初心者がつまずきやすい部分です。

 ここでは、初めて申請する方が特に注意すべきポイントを整理し、失敗を防ぐためのチェックポイントをわかりやすく解説します。

経営経験年数が認められないケース

 建設業許可で経営業務の管理責任者の経験年数を証明する際には、すべての経験がそのまま認められるわけではありません。以下のような場合には、経験年数が減算されたり、認められなかったりすることがあります。

1. 個人事業主の場合の按分

  • 確定申告書の給与所得欄に数字が記載されている年度は、その部分の経営経験は認められず、事業所得に応じて按分されます。
    • 例:事業所得700万円、給与所得500万円 → 1年分の経験が7/12に按分され、7か月分としてしか認められない
  • 確定申告書第二表に源泉徴収された収入の記載がある場合も同様です。

2. 建設工事の請求書の不備

  • 提出した請求書に現場名しか書かれていない場合や、建設工事の業種・請負の事実が読み取れない場合は、経営経験として認められません。
  • 「人工出し」や「応援」といった形で関わった工事も、常用工事とみなされ、経験として認められません。

3. 書類の記載内容の不備

 確定申告書や法人の登記事項証明書に、塗装工事や建設工事を施工する旨の記載がない場合、請求書と入金記録の提出についても、12か月以上空けずに連続した証明が求められるなど、要件が厳しくなる場合があります。

社会保険未加入による不許可

 社会保険への加入も建設業許可の申請要件とされています。具体的には、法人従業員を5名以上雇用している事業所の場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入が法律で義務付けられています。

 許可申請時には、これらの保険に加入していることを証明するため、直近の保険料の領収書の提出が求められます。そのため、未加入のままでは原則として許可を受けることができません。

 ただし、申請前または審査中に適切に加入手続きを行えば、要件を満たすことは可能です。
社会保険の加入状況は審査で必ず確認される重要なポイントのため、「まだ入っていない」「手続きが途中」という場合は、早めに対応しておくことが大切です。

申請書類の記載ミス・添付漏れ

 建設業許可の申請では、申請書の記載内容や添付書類に細かい確認事項が多く、初めての方ほど記載ミスや書類の添付漏れが起こりやすい傾向があります。

 記載ミスや必要書類の不足があった場合でも、すぐに不許可になるわけではありませんが、多くの場合は行政から補正(書類の修正・追加提出)を求められます。

 この補正対応に時間がかかると、その分だけ許可取得までの期間も長引いてしまうため注意が必要です。スムーズに許可を取得するためには、提出前に書類を十分に確認し、漏れや誤りがない状態で申請することが重要なポイントとなります。

塗装工事業の建設業許可は自分でできる?専門家に依頼すべき?

 塗装工事業の建設業許可は、要件を満たし、必要書類を正しく揃えれば自分で申請することも可能です。しかし実際には、経営経験や実務経験の判断、証明書類の作成・収集など、専門的で分かりにくいポイントが多いのも事実です。

 特に、経験年数の按分や請求書の内容確認、社会保険や財産要件の証明などは、少しの認識違いで補正が続いたり、最悪の場合は不許可になることもあります。

 この見出しでは、自分で申請する場合のメリット・注意点と、行政書士などの専門家に依頼する場合のメリットを比較しながら、どちらが自分に合っているのかを判断できるよう、わかりやすく解説していきます。

自分で申請するメリット・デメリット

 塗装工事業の建設業許可は、自分で申請することも可能です。費用を抑えられる反面、注意すべき点もありますので、メリット・デメリットを理解したうえで判断することが大切です。

メリット
 最大のメリットは、専門家への報酬が不要なため、費用を最小限に抑えられることです。申請手数料以外のコストをかけずに手続きを進めたい方にとっては、魅力といえます。

デメリット
 一方で、初めて申請する場合は、申請書類の作成や必要書類の収集に想像以上の時間がかかります。また、許可要件を正しく理解できておらず、実は要件を満たしていなかったために不許可となるリスクもあります。
その場合、申請手数料は返還されないため、費用が無駄になってしまう点にも注意が必要です。

行政書士に依頼するメリット

 建設業許可の申請は書類が多く、経営経験や実務経験の証明、財産要件や社会保険の確認など、専門的で細かい要件が多いのが特徴です。

行政書士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

  • 書類作成・収集の負担が軽減される
    必要書類のチェックや記入内容の確認を専門家が行うため、ミスや漏れを防げます。
  • 不許可リスクを減らせる
    経験年数の按分や請求書の内容確認など、初めての方には判断が難しい部分も、行政書士の知識で正しく対応できます。
  • 申請期間を短縮できる可能性
    書類の不備による補正の回数が減ることで、スムーズに許可取得まで進められます。
  • 手続き全体の安心感
    初めての申請でも、専門家がサポートしてくれることで心理的負担を大幅に減らすことができます。

簡単に言うと、「費用はかかるが、時間・手間・リスクを減らせる」のが行政書士に依頼する大きなメリットです。

依頼した場合の費用相場

 建設業許可を行政書士に依頼する場合、費用は主に報酬(手数料)と申請手数料で構成されます。

  • 行政書士の報酬
    • 塗装工事業など単一業種の新規申請の場合、おおむね15万円~30万円程度が相場です。
    • 業種が複数ある場合や、書類作成・確認に手間がかかる場合は、これ以上かかることもあります。
  • 建設業の申請手数料(国・都道府県への支払い)
    • 法人:90,000円
    • 個人事業主:50,000円

 合計すると、初めての塗装工事業許可申請では、おおむね20万円~40万円程度の費用が目安となります。

 行政書士に依頼すると報酬はかかりますが、書類の不備による補正や不許可リスクを減らせるため、時間や手間を考慮すると費用対効果が高い場合もあります。

まとめ|塗装工事業の建設業許可取得で押さえるべき重要ポイント

 塗装工事業の建設業許可を取得するには、経営者の経験、営業所技術者の資格・実務経験、財産的基礎、社会保険の加入状況、書類の正確な準備など、いくつもの要件を満たす必要があります。

 初めて申請する場合は、書類の作成や証明方法、申請要件の細かい規定でつまずきやすく、補正や不許可のリスクもあります。しかし、必要なポイントを事前に整理し、ミスなく書類を準備することで、スムーズに許可を取得できます。

 この記事では、特に押さえておきたい営業所技術者や経営経験の要件、社会保険の確認、申請書類の準備と流れを解説しました。これらのポイントを理解して実践すれば、塗装工事業の建設業許可を安全かつ効率的に取得することが可能です。

当事務所へのお問い合わせは、下記お問い合わせフォームよりお願いいたします。

    会社名(必須)

    お名前(必須)

    フリガナ(必須)

    メールアドレス(必須)

    電話番号(必須)

    お問い合わせ内容(必須)

    確認画面は表示されません。上記内容にて送信しますがよろしいですか?(必須)
    はい

    投稿者プロフィール

    start-up22
    start-up22
    【スタートアップ行政書士事務所 代表/行政書士】
    佐野 太一(さの たいち)

    2022年3月開業。愛知県あま市にて行政書士事務所を経営。
    専門分野は建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、補助金申請。