建設業許可が取り消されるケースを解説

建設業許可取り消しの概要

 この記事では建設業許可業者が受ける可能性のある罰則やペナルティについて解説します。特にその中でも建設業許可の取り消しは、5年間許可の再取得が出来なくなる等不利益も大きいので、注意が必要です。

 また、実際に監督処分が課された事例や当事務所によくご相談頂く内容をQ&Aでまとめました。ぜひ参考にしてください。

建設業法に違反した場合のペナルティとは

 まず建設業法に違反した場合のペナルティとしては、①罰則と②監督処分の二つに分けられます。下記にて詳しく説明します。

建設業法の罰則について

 建設業法の罰則とは、建設業法に違反した場合に裁判所によって課される刑罰であり、建設業法の第8章に定められています。主要なものを罰則の重さで分類して下記にて説明します。

3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となるもの

・建設業許可を受けないで建設業を営んだ者(軽微な建設工事を除く)

・特定建設業許可を受けずに元請業者として5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上の下請契約を締結した者

・営業停止処分に違反して建設業を営んだ者

・営業禁止処分に違反して建設業を営んだ者

・虚偽又は不正の事実に基づいて建設業許可を受けた者

6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金となるもの

・建設業許可申請書や工事経歴書に虚偽の記載をして提出した者

・変更届を提出せず、又は虚偽の記載をして提出した者

・許可基準を満たさなくなり、又は欠格事由に該当したのに、その届出をしなかった者

・経営事項審査の手続きにおいて虚偽の記載をした書類を提出した者

100万円以下の罰金となるもの

・必要な主任技術者又は監理技術者の配置を怠ったとき

・建設業許可が失効し又は営業停止若しくは許可が取り消された場合に、施工中の建設工事の注文者への通知を怠った場合

・経営事項審査手続きにおいて、求められた報告や資料の提出をせず、又は虚偽の報告や虚偽の資料を提出した者

・国土交通大臣又は都道府県知事から求められた報告をせず、又は虚偽の報告をした者

・国土交通大臣又は都道府県知事の検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき

10万円以下の過料

・廃業の届出を怠った者

・建設工事紛争審査会の出頭の要求に正当な理由がなく応じなかった者

・標識を掲げない者

・建設業許可業者でないのに、標識を掲げた者

・営業所に備えておくべき帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載等をした。

法人自体に課せられる罰金刑

 上記までの罰則は違反した行為者を罰するものですが、その行為者が所属する法人自体も罰金刑の対象になります。

 行為者が上記罰則のうち、①3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に該当した場合、②6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金、又は100万円以下の罰金に該当した場合で、それぞれ下記の罰則が法人自体にも課されます。

①1億円以下の罰金刑

②行為者と同じ罰金刑

建設業法の監督処分とは

 また、建設業法上のペナルティの二つ目は監督処分です。監督処分には、①指示処分、②営業停止処分、③許可の取り消し処分があります。①と②につき、下記にて詳細を説明します。

①指示処分とは

 指示処分とは、建設業法の監督処分の一種であり、国土交通大臣又は都道府県知事が建設業者に向けて適切な処置を行うよう促すことを言います。

 この指示に従わないと、営業の全部又は一部の停止を命じられる可能性があります。指示処分が必ず営業停止処分に先行する訳ではなく、いきなり営業停止処分が課される可能性もあります。

指示処分が課される主な場合

・建設工事を適切に施工しなかったため公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき

・請負契約に関し不誠実な行為をしたとき

・建設業者やその役員、政令使用人が他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき

・一括請負に関与した場合

・主任技術者又は監理技術者が工事施工管理について著しく不適当であり、その変更が公益上必要であると認められるとき

・建設業許可を取得していない建設業者に500万円以上の建設工事を発注した場合

・特定建設業者でない建設業者が元請業者として5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上の下請契約を締結しようとする場合に、下請けとして工事を受注したとき。

・営業停止や営業禁止中の建設業者と下請契約を締結したとき

②営業停止処分とは

 営業停止処分とは、①の指示処分が課されうる場合又は①の指示処分がされたのにその指示処分に従わない建設業者に対して、課される監督処分をいいます。営業停止処分は1年以内の期間を定めて、営業の全部又は一部の停止が命じられます。

 指示処分と比較して一定期間建設業の営業を行えなくなる点において重たい処分であるといます。この営業停止処分を受けている期間において、処分に相当の責任がある役員等が、別法人の役員となったり新たな営業を開始することも合わせて禁止されます。

建設業許可が取り消しになる二つのケース

 また、上記の監督処分の③のうち、最も重い処分である建設業許可の取り消し処分につき、説明致します。

建設業許可が取り消されるケースとしては、①不利益処分による取り消し②手続き上の取り消しの二つがあります。

不利益処分による取り消し

 不利益処分による取り消しとは、許可業者の不正行為等によりペナルティとして許可が取り消される場合をいいます。主に下記のような場合です。

・不正の手段によって建設業許可を得たことが明らかになった時。

・前記「営業停止処分」に該当するような事実があり、情状が特に重い場合。または、営業停止処分に反して建設業の営業を行った場合。

手続き上の取り消し

 手続き上の取り消しとは、建設業許可業者が建設業法の要件を満たさなくなったことにより、行政が手続き上で行う建設業許可の取り消し手続きです。主に下記のような場合が該当します。

・経営経験の要件を満たす経営業務管理責任者が取締役を退任した。

・専任技術者であった資格者が退職した。

・愛知県知事業者が唯一の営業所を岐阜県に移転した。

・国土交通大臣許可業者の営業所が一つの都道府県内のみとなった。

建設業法の監督処分がされた実際の事例

 では、実際に建設業法の監督処分がされた事例を見ていきましょう。

事例①許可取消処分

処分を受けた者ー神奈川県の某建設業者

処分の内容ー建設業法第29条の2第1項の規定に基づく許可の取り消し

処分の原因となった事実ー営業所の所在地を確知できないため、令和〇年〇月〇日付け神奈川県公報定期第〇〇〇号にて公告したが、30日経過しても当該建設業者から申出がなかった。 このことは、建設業法第29条の2第1項に該当する。

事例②許可取消処分

処分を受けた者ー大阪府の某建設業者

処分の内容ー建設業法第29条第1項に基づく建設業許可の取消し

処分の原因となった事実ー当該建設業者の取締役が、傷害の罪により罰金20万円の刑に処せられ、令和〇年〇月〇日にその刑が確定した。

事例③許可停止処分

処分を受けた者ー北海道の某建設業者

処分の内容ー建設業法第28条第3項に基づく営業停止処分 営業停止期間:令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日までの7日間 営業停止範囲:地域、業種、公共・民間工事の範囲を限定せず営業の全部停止

処分の原因となった事実ー管工事業の許可を有しないのに、契約金額6,666,000円で空調機の設置工事の請負工事を受注した。

 建設業法の監督処分は、下記ネガティブ情報等検索サイトにて誰でも閲覧可能ですので、実際の処分事例について確認してみてください。

建設工事(公共事業を含む)  建設業者 - 国土交通省 ネガティブ情報等検索サイト

許可取り消しに関するQ&A

 下記に当事務所がよく頂くご質問をまとめました。

建設業許可はどんな場合に取り消されるのですか?

主に以下のケースで取消し処分となります。

・許可申請時に虚偽の申請を行った。

・経営業務管理責任者や専任技術者の要件該当者がいなくなった。

・欠格要件に該当するようになった(役員に禁錮や罰金等の刑罰が科された等)

・建設業法に違反し、改善命令にも従わなかった。

「取消し」と「営業停止」は何が違うのですか?

営業停止は一定期間の業務停止命令で、期間終了後は再び業務が可能です。
一方、取り消しは許可そのものが失われるため、再度新しく許可を取り直さなければ営業できません。

取り消しになると再申請できますか?

再申請自体は可能ですが、不利益処分による取り消しの場合には、5年間許可が再取得出来ません

許可を守るために気をつけることは?

以下の点を日常的に管理することが重要です。

  • 法令違反や脱法行為をしない
  • 経営業務の管理責任者・専任技術者の体制を常に維持する
  • 決算報告や変更届などの提出を期限内に行う
  • 不明点は専門家(行政書士など)に相談する

まとめ

 建設業許可の取り消しは、虚偽申請や欠格要件への該当、法令違反など、事業の存続に直結する重大な処分です。一度取り消されると、再申請には時間や手続きが必要となり、取引先からの信用にも大きな影響を与えます。

 日頃から経営業務の管理責任者や専任技術者の体制を維持し、変更があれば速やかに届出を行うこと、そして法令を遵守した経営を続けることが何よりの予防策となります。

「うちは大丈夫だろう」と思っていても、書類の不備や手続きの遅れから思わぬリスクが生じる場合もあります。少しでも不安を感じたら、専門家に相談し、許可を守るための体制を整えておくことをおすすめします。

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投稿者プロフィール

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【スタートアップ行政書士事務所 代表/行政書士】
佐野 太一(さの たいち)

2022年3月開業。愛知県あま市にて行政書士事務所を経営。
専門分野は建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、補助金申請。