建設業許可の許可要件②ー専任技術者について

この記事でわかること

建設業許可取得に必要な三つの要件である「経営業務管理責任者の経営経験」「専任技術者要件」「財産要件」のうち、専任技術者の要件について理解できます。

※愛知県で建設業一般許可を取得するケースを想定して記載しています。

建設業許可の概略については下記記事もご参照ください。

建設業許可とは?

また、経営業務管理責任者の要件については下記記事をご確認ください。

建設業許可の許可要件①ー経営業務管理責任者の経営経験について

また、建設業許可の財産要件については下記記事もご参照ください。

建設業許可の許可要件③ー財産要件

専任技術者の要件

一般建設業許可と特定建設業許可で専任技術者の要件は異なりますが、

申請件数の多い一般建設業許可の場合でご説明します。

専任技術者の要件とは、取得したい業種の建設工事を行うために必要な技術的能力を有

する者が社内に存在するという要件です。具体的には下記のいずれかの要件を満たす必

要があります。

①大学や高校等の所定学科を卒業した後3年~5年の実務経験を有する者
②国土交通大臣が認定した一定の資格を有すること
③10年以上の実務経験を有すること

専任技術者は営業所毎に配置する必要があります。

また、「専任」とはその営業所に常勤して職務をしていることを指します。パート社員は含みませんが、

勤務状況や給与の支払い状況によっては出向社員でも「専任」に該当します。

また下記の場合には原則として「専任」にはあたりません。

①住所が勤務する営業所の所在地から著しく遠距離にあって、常識的に通勤不可の場合

②他の営業所や他社で専任技術者とされている人

③建築士や宅地建物取引士等他の法令で特定の営業所で専任している人(同一の営業所であれば可能)

④他に個人営業や他社の役員等で専任に近い状態にある人

学歴要件の所定学科について

許可を受けようとする建設業の業種ごとに必要な学科要件は下記の表の通りです。

許可を受けようとする建設業の業種学 科
土木工事業、舗装工事業土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下同じ)、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科
建築工事業、大工工事業、ガラス工事業、内装仕上工事業建築学又は都市工学に関する学科
左官工事業、とび・土木工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、塗装工事業、解体工事業土木工学又は建築学に関する学科
電気工事業、電気通信工事業電気工学又は電気通信工学に関する学科
管工事業、水道施設工事業、清掃施設工事業土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
鋼構造物工事業、鉄筋工事業土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
板金工事業建築学又は機械工学に関する学科
防水工事業土木工学又は建築学に関する学科
機械器具設置工事業、消防施設工事業建築学、機械工学又は電気工学に関する学科
熱絶縁工事業土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
造園工事業土木工学、建築学、都市工学又は林学に関する学科
さく井工事業土木工学、鉱山学、機械工学又は衛生工学に関する学科
建具工事業建築学又は機械工学に関する学科
しゅんせつ工事業土木工学又は機械工学に関する学科

上記の学歴要件に加えて下記の実務経験を満たす必要があります。

・高等学校や中等教育学校の所定学科卒業の人は5年以上の実務経験

・大学、短期大学、高等専門学校卒業又は専門職大学の前期課程の所定学科終了後3年以上の実務経験

※10年以上の実務経験や該当資格がある場合には上記学歴要件を満たす必要はありません。

専任技術者要件が認められる資格

資格を取得しているだけで専任技術者要件が満たされる主な資格と対応する業種は下記の表の通りです。

一級建設機械施工技士【一機施】、二級建設機械施工技士(第1種~第6種)土木工事業、とび・土工工事業、舗装工事業
一級土木施工管理技士【一土施】土木工事業、とび・土工工事業、石工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、塗装工事業、水道施設工事業、解体工事業
二級土木施工管理技士(土木)土木工事業、とび・土工工事業、石工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、水道施設工事業、解体工事業
二級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)塗装工事業
二級土木施工管理技士(薬液注入)とび・土工工事業
一級建築施工管理技士【一建施】建設工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、熱絶縁工事業、建具工事業、解体工事業
二級建築施工管理技士(建築)建築工事業、解体工事業
二級建築施工管理技士(躯体)大工工事業、とび・土工工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、解体工事業
二級建築施工管理技士(仕上げ)大工工事業、左官工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、熱絶縁工事業、建具工事業
一級電気工事施工管理技士【一電施】電気工事業
二級電気工事施工管理技士電気工事業
一級管工事施工管理技士【一管施】管工事業
二級管工事施工管理技士管工事業
一級電気通信工事施工管理技士【一通施】電気通信工事業
二級電気通信工事施工管理技士電気通信工事業
一級造園施工管理技士【一園施】造園工事業
二級造園施工管理技士造園工事業
一級建築士【一建士】建築工事業、大工工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、内装仕上工事業
二級建築士建築工事業、大工工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、、内装仕上工事業
木造建築士大工工事業
第一種電気工事士(免状)電気工事業
第二種電気工事士(免状)※電気工事業
電気主任技術者(第1種~第3種)※電気工事業
電気通信主任技術者※電気通信工事業
給水装置工事主任技術者※管工事業
甲種消防設備士消防施設工事業
乙種消防設備士消防施設工事業

※第二種電気工事士は交付後3年、電気主任技術者・電気通信主任技術者は交付後5年、給水装置工事主任技術者は交付後1年の実務経験が必要です。

上記の表以外にも技能士法や職業能力開発促進法の「検定職種」を取得することにより

専任技術者の要件を満たす場合があります。詳細は下記の愛知県のサイトの手引きをご

確認ください。

愛知県許可様式ダウンロードページ

実務経験の要件について

 上記のような学歴要件や資格を所有していない場合でも、10年の実務経験を有するこ

とで専任技術者の要件を満たすことが出来ます。実務経験は単に建設工事の雑務のみを

行った経験は含みませんが、建設工事の発注に当たって設計業務や現場監督、土工及び

その見習いに従事した経験も経験年数に含めます。

 実務経験は様式第9号の実務経験証明書に、取得する業種につき過去に行った工事の

内容や工期の期間を記載して証明します。原則として請求書等の提出の必要はありませ

ん。また複数の業種につき実務経験を有する場合は、下記の例のようにその従事した割

合により実務経験期間が按分されます。

例)建築工事業の経験15年、管工事業の経験20年、建築工事と管工事の割合5:5

→建築工事業の経験は7.5年分、管工事業の経験は10年分認められる。

まとめ

専任技術者の要件には①学歴要件+3~5年の実務経験②資格③1業種10年の実務経験の

いずれかの要件を満たす必要があります。専任技術者は営業所毎に置く必要があり、

かつその営業所に常勤している必要があります。

複数の会社を跨いで実務の経験をしている場合等、証明が複雑になるケースも多いので

要件を満たしているか否か専門家へのご相談をお勧め致します。

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投稿者プロフィール

start-up22
start-up22
【スタートアップ行政書士事務所 代表/行政書士】
佐野 太一(さの たいち)

2022年3月開業。愛知県あま市にて行政書士事務所を経営。
専門分野は建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、補助金申請。