建設業許可電子申請の流れを解説

建設業許可の電子申請とは

 2023年1月10日より、建設業許可・経営事項審査の申請等について、建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)を利用した電子申請が可能となりました。国土交通大臣許可・都道府県知事許可を問わず、JCIPを利用した申請が可能ですが、一部都道府県(大阪府、福岡県)ではまだ未対応となっています。

 この記事では建設業許可の電子申請について説明します。

電子申請システム導入の経緯

 建設業界においては、作業員や事務員等の長時間労働が常態化していました。建設業許可や経営事項審査の手続きは申請者や行政庁の過大な負担になっているという事情もありました。

 働き方改革推進の一環として建設業においても2024年1月より時間外労働の罰則付きの上限規制が施行されることに伴って、事務負担軽減のために建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)の運用が2023年1月より開始されました。

電子申請を利用するメリット

 建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)を利用した建設業許可申請、経営事項審査申請をするメリットは主に下記の通りです。

電子申請のメリット

・オンライン上で申請、届出の作成と申請が可能(訪庁や郵送手続きが不要)

・データ連携により、法務省(登記事項証明書)や国税庁(納税情報)の取得、添付が不要となる書類がある。

・外部アプリケーションで作成したデータの取り込みや前回申請したデータの再利用が可能となるので入力の手間を省ける。

・入力データのエラーチェックや自動計算がされる。

 まだデータ連携等の部分で不十分なところはありますが、このように電子申請を行うことで建設業許可関連手続きの事務負担は大幅に軽減されますので、電子申請システムへの移行を進めて頂くことをお勧め致します。

電子申請で作成できる書類、できない書類

 建設業許可関連手続きの中でも電子申請を利用できる手続きと利用できない手続きがあります。それぞれ下記の通りです。

〇電子申請を利用できる手続き

新規申請、更新申請、各種変更届、事業年度終了届、経営事項審査申請

〇電子申請を利用できない手続き

合併や相続等の許可承継手続き

 また、都道府県によっては、一部JCIP外で作成した書類を添付する必要があることもございます。詳細は管轄の建設事務所までお問い合わせください。

電子申請システムの利用について

 それでは電子申請システムの利用について説明します。JCIPへのログインは下記URLになります。

JCIPログインはこちら:建設業許可・経営事項審査電子申請システム (mlit.go.jp)

JCIPの利用環境

JCIPを利用する上で必要な利用環境は下記の通りです。

〇利用環境

・端末 パソコン ※スマホは不可

・OS:Windows8.1、Windows10、Windows11

・ブラウザ:Microsoft Edge、Google Crome

・PDF閲覧用ソフト

なお、タブレットでも利用は可能ですが、非推奨となっています。

JCIPへのログイン方法

 JCIPへのログインはデジタル庁が提供しているgBizIDアカウントを使用します。gBizIDアカウントは、アカウント登録すると補助金のオンライン申請等のgBizIDで認証を行っている各行政サービスを同じアカウントで利用することが出来ます

 gBizIDアカウントにはプライム、メンバー、エントリーの3種類がありますが、JCIPを使用できるのはプライムとメンバーのみです。gBizIDアカウントの作成については下記URLから行ってください。

gBizIDアカウントの作成GビズID | Home (gbiz-id.go.jp)

JCIPの利用方法

 JCIPにログインをすると下記のようなページ画面がホーム画面になります。

 左上の「申請・届出作成(本人)」というボタンを押すと下記のように建設業許可と経営事項審査につき、各申請項目が表示されます。自分が申請したい項目のボタンを押して、必要事項の入力や添付書類・確認資料の添付を行います。

 また手数料が発生するような手続きの場合は、下記のような方法により納付を行います。

国土交通大臣許可都道府県知事許可
(1)Pay-easyの納付番号等によるATM、ネットバンキングで支払う方法(1)JCIPから金融機関のネットバンキングを利用してのPay-easy支払いを行う方法
(2)収入印紙、国税納付領収書をJCIPで出力した貼付け用紙に貼付して、郵送・窓口に提出して行う方法(2)都道府県証紙を郵送、窓口提出して行う方法
(3)その他都道府県独自の納付方法

 申請完了後、補正や修正の指示等は、ホーム画面に通知されます。補正が必要な場合は、再度JCIP上で修正を行い送信します。申請が完了すると結果の通知書が発行されます。申請先により、電子で許可通知書等を受け取る場合と紙の通知書が行政から郵送される場合があるようです。

建設業許可電子閲覧システムについて

 2023年4月より、建設業許可電子閲覧システム(JCIP電子閲覧システム)の運用が開始されています。閲覧対象は、JCIPで電子申請されたものに限られます。紙の申請の場合に管轄の建設事務所で閲覧できたのと同じ内容を電子閲覧システムで閲覧できる形になります。

 建設業許可電子閲覧システムについては、下記URLよりご利用ください。

JCIP電子閲覧システムはこちら:トップページ (mlit.go.jp)

行政書士への代理申請の依頼方法

 また、建設業関連手続きを行政書士に委任する場合でも、JCIPで手続きを行うことは可能です。具体的には、下記のような流れで委任手続きを行う必要があります。

①gBizIDサイトで委任申請する
まず委任者がgBizIDアカウントにログインし、左側メニュー画面の「委任先一覧・委任申請」というところから、受任者アカウントと依頼したい手続きを特定して委任を行います。
②代理人がgBizIDサイトで受任承認をする
次に代理人である行政書士が、gBizIDサイトで受任承認手続きを行います。これにより、gBizIDに委任関係の情報が登録されます。
③代理人がJCIP側で委任状を作成
また代理人はJCIPのサイトで依頼された建設業手続きの内容を反映させた委任状を作成し、委任者に送信します。
④委任者がJCIP上で承認手続きを行う
委任者はJCIPにログインし、代理人が作成した委任状の承認を行います。委任状の内容に相違がある場合には、不承認にした上で委任状を作成して代理人側に通知することも可能です。

 委任手続きが終了したら、代理人は自己のアカウントで委任者の建設業許可手続きの電子申請を行います。補正等や修正等の対応についても同様です。また建設業許可手続きが完了した際の電子通知は、直接本人である委任者に通知されます。

まとめ

 建設業許可手続きを行う上で、依然として申請書を印刷して提出される方が多いですが、正本・副本合わせて約80枚程に及ぶA4用紙や印刷代金、郵送料、建設事務所に訪問する時間や交通費、補正対応の際の郵送費等のコストは無視できません。また登記事項証明書や納税証明書の取得にも時間や費用が発生します。

 JCIPのシステムを利用することで、申請に掛かる費用や必要書類の収集にかかる時間の削減をすることが出来ます。また変更届や事業年度終了届、更新手続きを行う際に過去の入力情報を参照することで、スピーディーな書類作成が可能となります。まだオンライン申請への移行がお済みでない方は、検討してみてください。

 お問い合わせはこちらから:お問い合わせ - スタートアップ行政書士事務所 (start-up22.com)

投稿者プロフィール

start-up22
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【スタートアップ行政書士事務所 代表/行政書士】
佐野 太一(さの たいち)

2022年3月開業。愛知県あま市にて行政書士事務所を経営。
専門分野は建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、補助金申請。