解体工事業での建設業許可取得に必要なステップ
解体工事業の概要について
この記事では建設業許可の29業種の一つである「解体工事業」での建設業許可取得に必要なステップについて解説します。解体工事業許可は、解体工事業登録の関係で実務経験の証明が出来ない場合がある等、特殊な要件が課されているので注意が必要です。
解体工事業の内容と例示
まず、実際どのような建設工事が解体工事業に該当するのでしょうか。店舗の内装解体工事やカーポート等の外構解体工事を解体工事業であると考えている方がいますが、これらはそれぞれ内装仕上工事業、とび・土工工事業に該当し、解体工事業には該当しません。
また、草木の伐採や草刈りも解体工事に当たらず、他の建設工事にも該当しません。
そして解体工事業の内容は工作物の解体を行う工事をいうとされています。ですので、建物等の工作物解体工事が解体工事業にあたる工事になります。
他の業種と類似した工事の区分の考え方
上記のようにそれぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当します。
また、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ土木一式工事や建築一式工事に該当するので注意が必要です。
ですので、結局上記のような土木一式工事、建築一式工事に当たらない工作物解体工事のみが解体工事業に該当することになります。
解体工事業の専任技術者要件
では次に、解体工事業の専任技術者要件を見ていきます。専任技術者要件とは、営業所毎に建設工事の技術的な監督を行う者を設置するという建設業許可の要件の一つです。
まず専任技術者要件は、①一定の資格保有者、②10年以上の実務経験がある者、③高校・大学の所定学科を卒業し、一定期間の実務経験がある者と定められており、いずれかを満たす者を営業所毎に常勤者の中から選任する必要があります。
そして下記においては、解体工事業の資格要件、所定学科、実務経験証明上の注意点の順に説明します。
解体工事業の資格要件
解体工事業の専任技術者として認められる資格としては下記のものがあります。
解体工事業の資格要件
・一級土木施工管理技士(平成27年度までの合格者は合格後1年以上の実務経験又は登録解体工事講習要)※
・一級土木施工管理技士補△
・二級土木施工管理技士(種別:土木)(平成27年度までの合格者は合格後1年以上の実務経験又は登録解体工事講習要)
・二級土木施工管理技士(種別:鋼構造物塗装又は薬液注入)△
・二級土木施工管理技士補(種別:土木又は鋼構造物塗装又は薬液注入)△
・一級建築施工管理技士(平成27年度までの合格者は合格後1年以上の実務経験又は登録解体工事講習要)※
・一級建築施工管理技士補△
・二級建築施工管理技士(種別:建築又は躯体)(平成27年度までの合格者は合格後1年以上の実務経験又は登録解体工事講習要)
・二級建築施工管理技士(種別:仕上げ)△
・二級建築施工管理技士補△
・一級造園施工管理技士△
・一級造園施工管理技士補△
・二級造園施工管理技士△
・二級造園施工管理技士補△
・技術士法 建設・総合技術監理(建設)(合格後1年以上の実務経験又は登録解体工事講習の受講要)※
・技術士法 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)(合格後1年以上の実務経験又は登録解体工事講習の受講要)※
・検定職種 とび・とび工(等級が2級のものは、平成16年3月31日以前の合格者は合格後1年、平成16年4月1日以降の合格者は合格後3年の実務経験要)
・民間試験 解体工事施工技士試験
※は特定建設業許可の資格要件としても認められています。
△は資格合格後、一級は3年、二級は5年の実務経験要
解体工事業の所定学科
また、解体工事業の学歴要件が認められる所定学科は下記の通りです。
解体工事業の所定学科
土木工学又は建築学に関する学科
解体工事業の実務経験証明上の注意点
実務経験で解体工事業の専任技術者要件を証明する場合には、解体工事業特有の注意点があります。
解体工事業登録との関係
解体工事の実務経験は、解体工事業登録又は建設業許可(土木工事業、建築工事業、解体工事業及びとび・土工工事業(特例措置の期間に限る)に限る)を受けた者として請け負った工事に従事した経験に限り、実務経験の期間に参入することが出来ます。
これは解体工事を行うには原則として、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」により、解体工事業登録を行わなければならないとされている事から、適法に解体工事を行っている場合にのみ実務経験を認めるとゆう運用がなされています。
そしてその例外となるのが、土木工事業、建築工事業、解体工事業の建設業許可を受けている業者で解体工事を行っていた場合です。これらの業種の許可がある場合には、解体工事業登録が不要とされています。
また、解体工事業の業種が新設されたのは、平成28年6月1日からになります。それまでは、解体工事はとび・土工工事業に含まれていました。そして平成28年5月31日までにとび・土工工事業の建設業許可を取得していた企業は、特例措置として平成28年6月1日から3年間は解体工事業登録をせずに、解体工事を行うことが認められていました。
ですので、平成28年5月31日以前にとび・土工工事業の許可がある企業で解体工事を行った経験と平成28年6月1日以降3年間で行った解体工事の経験についても実務経験として、カウントされます。
各専門工事の業種に該当する解体工事
実務経験証明書に解体工事の実務経験を記載する際、解体工事に該当しない建設工事を記載してしまう例は多いです。前述の通り、内装解体工事や外構解体工事は解体工事業の実務経験には当たりません。
各種専門工事や土木一式工事、建築一式工事に当たらない工作物解体工事のみが解体工事に当たりますので、実務経験証明書を記載する際には注意しましょう。
実務経験の緩和措置について
また解体工事業の実務経験は、一定の要件を満たすことで緩和措置を受けられます。
下記(1)~(3)の2業種の実務経験が合計12年以上あり、解体工事業のみの経験が8年を超えている場合には、解体工事業の専任技術者要件を満たすものとして取り扱われます。
(1)土木工事業と解体工事業
(2)建築工事業と解体工事業
(3)とび・土工工事業と解体工事業
解体工事業登録とは何か
続いて解体工事業登録について説明します。
解体工事業登録が必要となる方
解体工事を行う事業者は、請負金額に関わらず解体工事業登録が必要です。ただし、土木工事業、建築工事業、解体工事業の建設業許可を受けた事業者は登録不要です。
登録申請はその業務を行う区域の都道府県知事へ行います。複数の都道府県で解体工事を行う場合には、各都道府県に登録が必要になります。
登録を受けるための要件
登録を受けるための要件としては、①技術管理者を選任すること、②欠格要件に該当しないことという各要件を満たしている必要があります。
技術管理者の選任
解体工事業者の登録を受けるためには、技術管理者を選任しなければいけません。技術管理者とは、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理を担当する方で、下記の基準に適合する方を指します。
技術管理者の基準
①高校の所定学科卒業後、4年以上の実務経験があること
②大学又は高専の所定学科卒業後、2年以上の実務経験があること
③8年以上の実務経験があること
④建設業法(技術検定)の下記資格保有者
1級建設機械施工技士、2級建設機械施工技士(種別が第一種又は第二種に限る)、1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(種別が「土木」に限る。)、1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士
(種別が「建築」又は「躯体」に限る。)
⑤建築士法の次の資格保有者 1級建築士、2級建築士
⑥職業能力開発促進法の下記技能検定保有者
1級(検定職種が「とび・とび工」に限る。)、2級(検定職種が「とび」若しくは「とび工」に限る。)+実務経験1年以上
⑦技術士法の技術士試験の内、第2次試験のうち技術部門が「建設部門」のものを有すること
⑧高校の所定学科卒業+3年以上の実務経験+国土交通大臣指定の講習受講者
⑨大学又は高専の所定学科卒業+1年以上の実務経験+国土交通大臣指定の講習受講者
⑩実務経験7年以上+国土交通大臣指定の講習受講者
⑪全国解体工事業団体連合会の解体工事施工技術士試験合格者
⑫国土交通大臣が上記①~⑪と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者
上記の所定学科とは、土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、建築学、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科を言います。
欠格要件
法人にあっては法人・役員、個人事業主にあっては事業主が次の(1)~(7)の欠格要件に該当するときは、登録を受けられません。
解体工事登録の欠格要件
(1)解体工事業者の登録を取り消された日から2年を経過しない方
(2)解体工事業者の登録を取り消された法人において、その処分のあった日前30日以内にその解体工事業者の役員であって、その処分のあった日から2年を経過しない方
(3)解体工事業の事業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない方
(4)建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律又はこの法律に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない方
(5)暴力団員(役員等がこれに該当する場合を含む。)
(6)暴力団員でなくなった日から5年を経過しない方(役員等がこれに該当する場合を含む。)
(7)暴力団員等がその事業活動を支配する方
解体工事業登録申請について
次に解体工事業登録申請について説明します。申請書類一覧、申請書類の提出先、登録申請手数料、登録申請の流れの順に説明します。
申請書類一覧
解体工事業の新規登録、更新申請の申請書類一式は下記の通りです。
〇解体工事業登録申請書(様式第1号)
〇誓約書(様式第2号)
〇技術管理者が基準に適合することを証する書類(資格証明書、実務経験証明書等)
〇登録申請者の調書(様式第4号)※法人の場合は法人自体と役員全員分作成する
〇履歴事項全部証明書(3ヶ月以内のもの)※法人の場合のみ
〇登録申請書及び技術管理者の住民票(3ヶ月以内のもの)※法人は役員全員分必要
申請書類の提出先
解体工事業登録は、主たる営業所を管轄する建設事務所等の窓口に提出して行います。愛知県内で解体業を行う場合の営業所の所在地とその管轄は下記の表の通りです。
主たる営業所の所在地 | 所管する部署 | 電話番号 |
名古屋市内全域 | 県庁(自治センター2階) 都市・交通局都市基盤部都市総務課 建設業・不動産業室 〒460-8501 名古屋市中区三の丸3-1-2 | 052-954-6503 |
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明 市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、 愛知郡及び西春日井郡の区域 | 尾張建設事務所(三の丸庁舎5F) 〒460-0001 名古屋市中区三の丸2-6-1 | 052-961-4409 |
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市及 び丹羽郡の区域 | 一宮建設事務所 〒491-0053 一宮市今伊勢町本神戸字立切1-4 | 0586-72-1465 |
津島市、愛西市、弥富市、あま市及び海部郡 の区域 | 海部建設事務所(海部総合庁舎6F) 〒496-8533 津島市西柳原町1-14 | 0567-24-2141 |
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市及 び知多郡の区域 | 知多建設事務所 〒475-0828 半田市瑞穂町2-2-1 | 0569-21-3233 |
岡崎市、西尾市及び額田郡の区域 | 西三河建設事務所(西三河総合庁舎6F) 〒444-0860 岡崎市明大寺本町1-4 | 0564-27-2745 |
碧南市、刈谷市、安城市、知立市及び高浜市 の区域 | 知立建設事務所 〒472-0026 知立市上重原町蔵福寺124 | 0566-82-3114 |
豊田市及びみよし市の区域 | 豊田加茂建設事務所 〒471-0867 豊田市常盤町3-28 | 0565-35-9312 |
新城市及び北設楽郡の区域 | 新城設楽建設事務所 〒441-1354 新城市片山字西野畑532-1 | 0536-23-5111 |
豊橋市、豊川市、蒲郡市及び田原市の区域 | 東三河建設事務所 〒440-0801 豊橋市今橋町6 | 0532-52-1312 |
他の都道府県の区域 | 県庁(自治センター2階) 都市・交通局都市基盤部都市総務課 建設業・不動産業室 〒460-8501 名古屋市中区三の丸3-1-2 | 052-954-6503 |
登録申請手数料
登録申請手数料は新規登録の場合33,000円、更新登録の場合は26,000円です。登録申請料は、下記本申請手続きの際に愛知県収入証紙を購入して納付します。
愛知県収入証紙は建設事務所の窓口周辺で購入できる場合が多いです。収入印紙とは、異なるので注意してください。基本的に現金での購入になります。
登録申請の流れ
では解体工事業登録申請の流れについてですが、下記の通りです。
- ①必要書類の収集と申請書類の作成
- 解体工事業登録に必要な書類を収集し、申請書類一式を作成します。公的書類は取得後3ヶ月以内のものであることが必要です。また申請書類は正副各1通作成します。
- ②管轄の窓口に仮申請
- 愛知県の場合、まず申請書一式を窓口に提出して書類のチェックを受けます。この際、書類の不備があれば連絡が入るので対応します。仮申請は郵送でも可能とされています。
- ③解体工事業登録の本申請
- ②のチェックが完了すると建設事務所から連絡が入るので、窓口で本申請手続きを行います。具体的には、申請手数料を愛知県収入証紙で納付し、申請日等の日付を記入します。
- ④簡易書留で登録証が発送
- 本申請から約1ヶ月程で解体工事業登録証が発行されます。登録証は簡易書留で郵送にて主たる営業所に届きます。受取が必要になるので、注意が必要です。
登録後に必要となる手続き
また、解体工事業の登録後、届出内容に変更があった場合には変更の届出が必要になります。また登録から5年間の有効期間があるので、5年後も継続する場合には更新手続きが必要になります。
その他、解体工事業登録後に、一定の業種の建設業許可を取得した場合や解体工事業を廃業した場合には、それぞれ手続きが必要になるので、下記にてご説明します。
変更の届出
登録事項に変更があった場合は、30日以内に解体工事業登録事項変更届出書(様式第6号)を主たる営業所を管轄する建設事務所に提出します。変更事由と添付書類は下記の通りです。
変更事由 | 添付書類 |
(1)商号、名称又は氏名及び住所 | 法人の場合ー履歴事項全部証明書 個人の場合ー住民票 |
(2)営業所の名称及び所在地 | 法人の場合ー履歴事項全部証明書(登記簿の変更を必要とする場合に限る) 個人の場合ー住民票 |
(3)法人の役員の氏名 | ① 履歴事項全部証明書 ② 誓約書(別記様式第2号) ③ 当該役員の調書(別記様式第4号) ④ 住民票 |
(4)法定代理人の氏名及び住所 | ① 誓約書(別記様式2号) ② 当該法定代理人の調書(別記様式第4号) ③ 住民票 ④ 当該法定代理人の履歴事項全部証明書 |
(5)技術管理者 | ① 技術管理者が基準に適合する者であることを証する書面 ②住民票 |
更新手続きについて
解体工事業は前述の通り5年間の有効期限があるため、5年後も継続して解体工事を行う場合には、解体工事業登録の更新手続きが必要です。
解体工事業登録の更新の申請書類は新規申請時と同じであり、登録期間満了の日の3ヶ月前から30日前までに更新手続きをする必要があります。
建設業許可を受けたときの通知
また、解体工事業登録を受けている事業者が土木工事業、建築工事業又は解体工事業の建設業許可を取得した場合は、その旨を30日以内に通知する必要があります。その概要は下記の通りです。
〇通知書類
通知書(様式第3)と建設業許可通知書の写し
〇提出部数
1部
〇提出先
主たる営業所を管轄する建設事務所(愛知県電子申請・届出システム利用可能)
廃業の届出
解体工事業を廃業した場合は、30日以内に解体工事業廃業等届出書(様式第1)を正副各1通提出する必要があります。その概要は下記の通りです。
届出事項 | 届出人 | 添付書類・確認書類 |
①個人事業主の解体工事業 者が死亡したとき | 相続人 | |
②法人が合併により消滅し たとき | 法人の元代表役員 | 登記事項証明書(合併により法人が消滅したことがわかるもの) |
③法人が破産手続開始の決 定により解散したとき | 破産管財人 | 次の書類のいずれか ○登記事項証明書等(破産したことがわかるもの) ○破産管財人の証明書(裁判所証明のものに限る) |
④法人が合併及び破産手続 開始の決定以外の理由に より解散したとき | 清算人 | 登記事項証明書(法人が解散したことがわかるもの) |
⑤解体工事業を廃業したと き | 個人事業主 法人の代表役員 | ○法人の場合 ・登記事項証明書(法人の役員であることが分かるもの) 上記に加え本人確認資料として ①登録通知書・登録申請書副本・変更届出書副本のいずれかの原本提示 ②①が提示できない場合 ア 事業所名が確認できる健康保険証(原本)提示(代表者の方以外でも可) イ アが提示できない場合、登記事項証明書に記載のある役員の健康保険証等(写し)提示 ○個人の場合、上記①、①が提示できない場合は、事業主本人の健康保険証等身分が確認できるもの(原本又は写し)提示 |
なお、解体工事業登録については、下記サイトより手引きもご参照下さい。
解体工事業の建設業許可取得手続き
それでは解体工事業の建設業許可取得手続きについて説明します。建設業許可の取得要件、必要書類、許可取得までの流れの順で説明します。
建設業許可の取得要件
建設業許可の取得要件は、①経営業務管理責任者要件、②専任技術者要件、③誠実性要件、④財産要件の4点を満たすことです。順に説明します。
①経営業務管理責任者要件
建設業の経営に5年以上携わっている経営者がいることという要件です。法人の役員としての経験だけでなく、個人事業主としての経験でも大丈夫です。
経営業務管理責任者要件の証明は、5年分の請求書とその入金記録や履歴事項全部証明書、建設業許可申請書副本等の書類で証明します。また、経営業務管理責任者は常勤である必要があるので、健康保険証の写しも必要になります。
②専任技術者要件
また専任技術者要件は、①一定の資格保有者、②取得業種につき10年以上の実務経験を有する者、③大学又は高校の所定学科を卒業し、3年又は5年の実務経験を有する者のいずれかを満たすことです。
専任技術者要件は、資格者証の写しや所定学科の卒業証明書、実務経験証明書等によって証明します。専任技術者についても常勤である必要があるので、健康保険証の写し等で常勤性の証明も行います。
③誠実性要件
誠実性要件とは、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな方でないことという要件です。
誠実性要件の証明のために提出する書類はありませんが、過去に建設業法等の違反がない場合には、基本的に要件を満たしていると認定されています。
④財産要件
財産要件は請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していることという要件です。
一般許可の場合は、自己資本が500万円以上であること、又は500万円以上の預金残高があること等により、財産要件を証明します。財産要件の詳細については、下記記事もご参照ください。
建設業許可申請の必要書類
建設業許可申請の必要書類は、下記の通りです。
建設業許可の必要書類
・(法人の場合)定款&履歴事項全部証明書
・役員全員又は個人事業主本人の登記されていないことの証明書
・役員全員又は個人事業主本人の身元証明書
・県税事務所発行の納税証明書
・(専任技術者に学歴や資格がある場合)卒業証明書又は資格者証の写し
・(法人の場合)直近3年分の決算報告書一式
・(個人事業主の場合)直近5年分の確定申告書一式の写し
・年1件5年分の請負工事に関する請求書とその入金記録
・経営業務管理責任者と専任技術者の健康保険証の写し
・500万円以上の預金残高証明書
・直近の労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書の写し
・雇用保険、健康保険、厚生年金保険の領収書の写し
・営業所の写真(①営業所の外観、②営業所の入口付近、③営業所内部の事務スペース)
※ケースバイケースにより、必要書類や確認資料は上記とは異なる場合があります。
建設業許可取得までの流れ
建設業許可取得までの流れは、下記の通りです。解体工事業の登録申請と流れはほぼ同じになります。
- ①必要書類の収集と申請書類一式の作成
- 公的書類等の必要書類を収集し、申請書類一式を作成します。申請書類は正副各1通作成します。
- ②管轄の建設事務所に仮申請
- 申請書類一式は、まず管轄の建設事務所にて仮申請という形で提出します。仮申請の際は書類のチェックがされますので、不備がある場合には連絡が入り対応する必要があります。
- ③本申請手続き
- ②の書類チェックが完了すると、建設事務所から連絡が入り、本申請手続きに進みます。本申請では、行政手数料の支払い(愛知県収入証紙で支払います)や申請書類への日付の記入、残高証明書の提出等を行います。
- ④簡易書留にて許可証の発送
- ③の本申請手続き後、約40日程で建設業許可証が簡易書留で発送されます。書留なので受取が必要になりますが、営業所の所在確認も兼ねているので確実に受け取るようにしてください。
解体工事業のQ&A
現在内装解体業を専門で請け負っていますが、元請企業に建設業許可を取得するように言われました。解体工事業ととび・土工工事業のどちらの業種で申請すべきでしょうか。
内装解体工事は、専門工事において建設される目的物についてのみの解体工事に当たるので、内装仕上工事業に該当します。実際に内装工事を施工していなくても、内装仕上工事業で建設業許可を取得する必要があります。
現在500万円以上の農業用ハウスの解体工事を請け負う予定がありますが、解体工事の建設業許可が必要でしょうか。また別途解体工事業登録は必要でしょうか。
農業用ハウスの建設は、とび・土工工事業の専門工事になります。そのため、農業用ハウスの解体工事も解体工事業ではなく、とび・土工工事業の建設業許可が必要になります。また、解体工事業については、建築物等を除去する解体工事を行うために必要となります。建築物等に該当しない農業用ハウスである場合には、登録不要かと思われます。
当社は解体工事業の建設業許可を取得していますが、解体工事につき自社の名前で請け負った上で許可を有しない他社に丸投げしたいと考えています。可能でしょうか。
建設業法22条1項により、建設業者の一括下請負は禁止されています。建設工事の責任が不明確となり、建設業許可取得の潜脱につながるからです。ですので、そのような丸投げは出来ない形になります。
まとめ
この記事では、解体工事業の建設業許可取得に必要なステップについて説明しました。解体工事業には、他の業種と異なり解体工事業登録制度等の兼ね合いで実務経験等の証明には十分な注意が必要です。
これから解体工事業許可を取得する方だけでなく、将来の取得を考えている方も計画的に許可取得に向けた取り組みをしていく必要があります。そのような方はぜひ一度当事務所までご相談ください。
投稿者プロフィール
- 【スタートアップ行政書士事務所 代表/行政書士】
佐野 太一(さの たいち)
2022年3月開業。愛知県あま市にて行政書士事務所を経営。
専門分野は建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、補助金申請。
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