建設業許可の承継について

この記事で分かること

 建設業許可の承継について理解できます。建設業許可の承継とは建設業許可業者

に相続や合併、法人化等の事由が生じた場合に、建設業者としての地位を空白期間

なく承継者等に承継させる制度です。

 以前までは、上記場合には一度建設業許可の廃業手続きをした上で、承継者が新

たな建設業許可の申請をする必要がありました。建設業許可の申請には約2ヶ月程の

審査期間があるため、「許可の空白期間」が生まれてしまう問題がありました。

 しかし、2020年に建設業法が改正されて、新しく建設業許可の承継制度が始まり

ました。これにより、「許可の空白期間」を生じることなく、同じ許可番号を行政

手数料が発生しない形で引き継ぐことが可能になりました。

なお、承継者は通常の建設業許可の申請に求められる各要件を満たしている必要が

あります。建設業許可の概略については下記記事もご参照ください。

建設業許可とは?

※この記事は、愛知県知事許可を申請するケースを想定して記載しています。

建設業許可の承継とは

 上記でも説明しましたが、建設業許可の承継とは下記の場合に建設業の全部を

他の者が承継する場合、①~③については事前に、④については被相続人死亡後

30日以内に申請し、認可を受けることで承継者は被承継者の許可を含む建設業法

上の建設業者としての地位を空白期間なく承継することが出来ます。

①事業譲渡(個人事業主が生前に行う事業承継、個人事業の法人化も含む)

②法人の合併

③法人の分割

④相続(個人事業のみ)

認可の要件

認可の要件は下記の4つになります。

(1)【事業承継】事業承継の効力発生日前までに認可を受けること

   【相続】被相続人死亡後30日以内に申請を行い、認可を受けること

   ※それぞれ被承継者の建設業許可有効期間内に行う必要があります。

(2)被承継者の建設業の全部を承継すること

   ※許可業種の一部のみ承継することはできません。承継しない業種がある

   場合は認可申請前に承継しない業種を廃業する必要があります。

(3)被承継者と承継者が同一業種について異なる区分の許可を受けていないこと

   被承継者と承継者が同じ業種の許可を受けている場合は区分(一般・特定)  

   が同一の場合に限り承継することが出来ます。区分が異なる場合には認可

   申請前に、一般・特定どちらかの許可を廃業する必要があります。

(4)承継後の全ての業種について、承継者が許可の要件を満たしていること

   承継者は承継後に有することになる全ての業種について、許可の要件を

   満たす必要があります。

認可申請の手続き

(1)事前相談

認可申請の手続きは必ずなるべく早めに建設事務所の窓口への事前相談が必要に

なります(承継効力発生日の2ヶ月前までに)。認可申請の標準的な処理機関は

申請書提出後23営業日です。補正期間は含まないので早めの事前相談をお勧め

します。

(2)提出先

承継者の主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所です。

申請書類については後記「認可申請書類」をご参照ください。

(3)手数料

承継手続きに行政手数料はかかりません。この点、従前の手続きによると新規申請

手数料の90,000円が掛かっていたことと比較すると、メリットが大きいと言えます

(4)認可通知書の交付

申請者(承継者)宛てに許可証が郵送されます。

(5)許可番号、許可の有効期間

許可番号は原則として被承継者の許可番号を引き継ぐ形になります。

承継者が既に建設業許可を受けている場合には被承継者と承継者の許可番号の

いずれかを選択することが出来ます。

また、許可の有効期間は事業承継の場合は事業承継の効力発生日から5年間、

相続の場合には被相続人の死亡の日から5年間となります。

事業承継の場合の例

認可申請日              2023年10月20日

認可日                2023年11月22日     

事業承継の効力発生日         2023年12月1日

許可年月日              2023年12月1日

許可の有効期間            2023年12月1日~2028年12月1日

承継の対象

事業承継について認可を受け、事業承継が効力発生すると、承継者は被承継者と

同じ地位に立つことになります。なので、建設業法に基づく監督処分や経営事項

審査の結果についても、当然承継されます。

ただし、建設業法の罰則は、違反行為を行った人に科されるものなので、その刑罰

については承継されません。

認可申請書類

基本的に承継者が建設業許可を取得していない場合には、通常の新規申請の

必要書類一式が必要になります。それに加えてそれぞれ下記の書類が必要です。

詳細については下記サイトより最新の手引きをご確認ください。

愛知県許可様式ダウンロードページ

〇譲渡及び譲受け・合併・分割の場合

・譲渡及び譲受け認可申請書(様式22の5)

・譲渡、譲受けに関する契約書(事業譲渡の場合)

・譲渡、譲受けに関する株主総会議事録(事業譲渡の場合)

・合併の方法及び条件が記載された書類(合併の場合)

・合併契約書及び合併比率説明書(合併の場合)

・合併に関する株主総会議事録等(合併の場合)

・分割の方法及び条件が記載された書類(会社分割の場合)

・分割契約書及び分割比率説明書(会社分割の場合)

・分割に関する株主総会議事録等(会社分割の場合)

〇相続の場合

・相続認可申請書(様式22の10)

・申請者と相続人との続柄を証する書類

・申請者以外に相続人がある場合には申請者以外の相続人全員の同意書

まとめ

2020年の建設業法改正により、事業承継等の場合に上記承継制度を使って簡略な

建設業許可の承継が可能となりました。一方、必要書類の作成や建設事務所の窓口

での事前相談が必要な点等、手続きには専門的な知識やノウハウが必要です。

上記承継制度の利用をご検討の方は専門家である行政書士へのご相談をお勧め

致します。当事務所でも申請のご相談を受け付けております。下記のお問い合わせ

ページからお気軽にお問い合わせください。

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投稿者プロフィール

start-up22
start-up22
【スタートアップ行政書士事務所 代表/行政書士】
佐野 太一(さの たいち)

2022年3月開業。愛知県あま市にて行政書士事務所を経営。
専門分野は建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、補助金申請。