愛知県建設業許可申請の必要書類と手数料

愛知県建設業の許可申請と手続きについて

 この記事では、愛知県で建設業を営業している事業者が、許可申請をする際の必要書類や手数料、その他注意点や手続きについて解説します。請負金額が税込500万円以上の工事を受任するには、建設業許可の取得が必要です。

建設業許可の窓口や必要書類のダウンロードについて

 建設業許可は、愛知県内のみに営業所を設ける場合には愛知県知事に、営業所を県外にも設ける場合には国土交通大臣に対して許可を申請する形になります。

愛知県内のみに営業所→愛知県知事許可

複数の都道府県に営業所→国土交通大臣許可

 ここでいう「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。本店又は支店は、その場所で請負契約を締結しなくても、他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行う等、営業に実質的に関与する場合には営業所に該当します。

 また、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、営業に関する実体的な行為をする事務所をいい、単なる連絡事務所や作業所は含みません。

〇国土交通大臣への申請窓口

愛知県内に主たる営業所がある事業者が、国土交通大臣許可を申請する際の窓口は下記の通りです。

国土交通大臣許可の窓口

〒460-8514

愛知県名古屋市中区三の丸2-5-1 名古屋合同庁舎第2号館 7階

国土交通省中部地方整備局 建政部建設産業課建設係

TEL:052-953-8572

〇愛知県知事への申請窓口

また、愛知県知事への申請は、主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所の窓口に行います。

各建設事務所の窓口は下記の通りです。

愛知県知事許可の申請窓口

主たる営業所の所在地所管する建設事務所電話番号
名古屋市の区域都市総務課 建設業・不動産業室
〒460-8501
愛知県名古屋市中区三の丸3-1-2 県庁(自治センター2階)
052-954-6503
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡及び西春日井郡の区域尾張建設事務所
〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸2-6-1(三の丸庁舎5階)
052-961-4409
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市及び丹羽郡の区域一宮建設事務所
〒491-0053
愛知県一宮市今伊勢町本神戸字立切1-4
0586-72-1465
津島市、愛西市、弥富市、あま市及び海部郡の区域海部建設事務所
〒496-8533
愛知県津島市西柳原町1-14(海部総合庁舎6階)
0567-24-2141
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市及び知多郡の区域知多建設事務所
〒475-0828
愛知県半田市瑞穂町2-2-1
0569-21-3233
岡崎市、西尾市及び額田郡の区域西三河建設事務所
〒444-0860
愛知県岡崎市明大寺本町1-4
(西三河総合庁舎6階)
0564-27-2745
碧南市、刈谷市、安城市、知立市及び高浜市の区域知立建設事務所
〒472-0026
愛知県知立市上重原町蔵福寺124
0566-82-3114
豊田市及びみよし市の区域豊田加茂建設事務所
〒471-0867
愛知県豊田市常盤町3-28
0565-35-9312
新城市及び北設楽郡の区域新城設楽建設事務所
〒441-1354
愛知県新城市片山字西野畑532-1
0536-23-5111
豊橋市、豊川市、蒲郡市及び田原市の区域東三河建設事務所
〒440-0801
愛知県豊橋市今橋町6
0532-52-1312

〇愛知県建設業許可を申請する際の必要書類とその書式ダウンロード先

 愛知県建設業許可を申請する際の申請書一式は、下記サイトよりダウンロード出来ます。

建設業許可様式ダウンロードページ

 また、愛知県建設業許可の新規申請の必要書類と確認資料は下記の通りです。

新規許可申請の必要書類・確認資料

・(法人の場合)定款&履歴事項全部証明書

・役員全員又は個人事業主本人の登記されていないことの証明書

・役員全員又は個人事業主本人の身元証明書

・県税事務所発行の納税証明書

・(専任技術者に学歴や資格がある場合)卒業証明書又は資格者証の写し

・(法人の場合)直近3年分の決算報告書一式

・(個人事業主の場合)直近5年分の確定申告書一式の写し

・年1件5年分の請負工事に関する請求書とその入金記録

・経営業務管理責任者と専任技術者の健康保険証の写し

・500万円以上の預金残高証明書

・直近の労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書の写し

・雇用保険、健康保険、厚生年金保険の領収書の写し

・営業所の写真(①営業所の外観、②営業所の入口付近、③営業所内部の事務スペース)

※ケースバイケースにより、必要書類や確認資料は上記とは異なる場合があります。

愛知県建設業許可の申請の流れ

 また、愛知県知事に対する建設業許可の申請は、現在下記のような流れとなります。

①必要書類の収集と申請書一式の作成
上記必要書類や確認資料を収集し、申請書ダウンロードページから申請書一式をダウンロードして、作成をします。
②仮受付
①の書類一式を主たる営業所を管轄する建設事務所へ提出し、書類のチェックを受けます。書類に不備や修正点がある場合には、補正の連絡が入るので対応します。約2週間~1ヶ月で③の本申請の手続きをする旨の連絡が入ります。
③本申請
建設事務所の窓口にて、申請書への日付の記入や愛知県証紙による行政手数料の90,000円を納付を行い、本申請手続きをします。預金残高証明書の提出が必要な場合は、このタイミングで基準日が4週間以内のものを提出します。
④建設業許可証の受取
③の手続き後、約23営業日後に主たる営業所に簡易書留にて許可証が郵送されます。

愛知県建設業許可取得に必要な費用

 愛知県建設業許可の申請類型と発生する費用は下記の表の通りです。

主な申請類型許可手数料
新規申請90,000円
業種追加50,000円
更新50,000円
事業年度終了届0円
変更届0円

 新規申請の場合は、上記費用に加えて登記されてないことの証明書や身元証明書、納税証明書等の必要書類を取得するための実費も発生します。役員1名の法人で、役員の住所・本籍が名古屋市にある場合の必要書類の取得費用は下記の通りです。

 登記されてないことの証明書(300円)+身元証明書(300円)+履歴事項全部証明書(600円)+納税証明書(400円)=1,600円

 ですので、郵送費用も含めて建設業許可に必要な経費は約10万円弱を見ておけば良いと思います。これに加えて行政書士に申請書作成等を依頼する場合は、別途行政書士の報酬が発生します。令和2年度の統計データによると、法人の建設業新規許可の行政書士報酬平均は137,618円となっております。

行政書士に建設業許可申請のサポートを依頼するメリット

 行政書士に建設業許可申請を依頼するメリットとデメリットは下記の通りです。

〇依頼するメリット

・申請書類作成や必要書類収集の時間や手間を省ける。

・正確な書類作成により、最短で建設業許可を取得できる。

・許可取得後に必要となる手続きについて、サポートを受けられる。

〇依頼するデメリット

・行政書士の報酬を支払う必要がある。

 建設業許可を自力で申請することは不可能ではありません。愛知県の場合だと下記サイトより詳細な手引きや申請書記載例が手に入ります。しかし、手引きや記載例はそれぞれ59ページほどの分量があり、慣れていないと手続きに過分な時間が掛かってしまいます。

時間に余裕があり、許可取得を急いでいない場合にはチャレンジしてみても良いと思います。当事務所では、自力で申請しようとして断念された方からのご依頼頂いております。そのような方もぜひお問い合わせください。

愛知県建設業許可に関するよくある質問とその回答

愛知県で建設会社を経営しています。当社では主に岐阜県で建設工事を行っており、岐阜県内にも作業場を借りています。当社では愛知県と岐阜県のどちらに建設業許可を申請すれば良いでしょうか。

建設業許可は営業所が一つの都道府県内にある場合にはその営業所の所在地の都道府県知事に、複数の都道府県にまたがる場合には国土交通大臣に対して許可申請をします。岐阜県の作業場で契約締結の実態業務を行っていない場合には営業所に該当しませんので、御社の場合は主たる営業所のある愛知県知事に許可申請をします。

建設業許可を申請する際に500万円以上の残高証明書を提出しますが、毎年の事業年度終了届の際にも500万円以上の残高証明書を提出する必要がありますか?

建設業の一般許可の場合には、新規申請の場合のみ500万円以上の預金残高証明書が必要になります。許可取得後の毎年の事業年度終了届や5年後の許可更新の際には残高証明書の提出は必要ありません。

当社は愛知県知事の建設業許可を取得している法人ですが、新たに愛知県内に支店を設ける予定です。現在登記の申請手続き中ですが、建設業許可上も何か手続きが必要でしょうか。

新たに営業所を新設した場合には、事実発生後から30日以内に変更届を提出する必要があります。各営業所には、常勤の専任技術者を置かないといけないため、その届も必要になります。

愛知県建設業許可の取得要件

 それでは、愛知県建設業許可の取得要件について見ていきます。取得要件は①経営業務管理責任者要件、②専任技術者要件、③財産要件の三つがあります。また、特定建設業許可の場合は取得要件が一般許可の場合と異なるので注意が必要です。

要件①経営業務管理責任者要件

経営業務管理責任者要件は、下記のいずれかに該当する経営者がいることという要件です。

経営業務管理責任者要件

常勤役員等のうち一人は次のいずれかに該当する者であること。

①建設業に関し、5年以上経営者としての経験を有する者

②建設業に関して5年以上経営者に準じる地位にあり、取締役会から権限委任を受けた者

③建設業に関し、6年以上経営者に準じる地位で、経営者を補佐する業務に従事した者

常勤役員等は、常勤の者である必要があります。株式会社では取締役、個人事業主の場合は本人や支配人が該当します。

①~③の5年又は6年の経営経験は「建設業」に関する経営経験である必要があります。

②、③の経営者に準じる地位は組織図や業務分掌規程、職位務分掌規程等の社内書類により証明する必要があります。

要件②専任技術者要件

 また、専任技術者要件は下記の①~③のいずれかの要件を満たす技術者が営業所に常勤しているという要件です。

専任技術者要件

許可を受けようとする業種につき、

①10年以上の実務経験を有する者

②高等学校の所定学科を卒業し5年以上の実務経験がある者、又は大学・専門学校の所定学科を卒業して3年以上の実務経験がある者

③特定の資格や検定職種を有する者

 専任技術者はその営業所に常勤している者から選任する必要があります。他社からの出向社員でも認められる場合があります。

 要件①の経営業務管理責任者が専任技術者を兼任することも可能です。

 ①や②の実務経験は実務経験証明書という書類を提出して証明します。許可を受けようとする業種につき、年1件の工事内容の記載が求められます。

要件③財産要件

 財産要件は下記のいずれかに該当することです。

財産要件

①申請日直前の決算で自己資本が500万円以上であること

②500万円以上の資金を調達する能力を有すること

③許可申請直前の5年間許可を受けて継続して営業した実績があること

②の証明は、預金残高証明書や融資証明書を提出することにより行います。

財産要件の詳細は下記記事もご参照ください。

残高証明書取得の落とし穴?建設業許可「500万円」の真実

特定建設業許可が必要な場合とその許可要件

 元請け企業が発注者から直接請け負った1件の建設工事につき、下請けに出す請負代金の合計額が4,500万円以上(建築工事業は7,000万円以上)となる場合は、特定建設業許可が必要です。

 特定建設業許可業者は、一般建設業許可と比較して大規模な建設工事に関わることが多くなることから、許可取得要件も通常より厳しい条件が課されています。

特定建設業許可要件

〇要件②の専任技術者要件につき、下記のいずれかの者がいること

(1)1級資格等の資格を有する者

(2)一般許可の専任技術者要件に該当し、かつ元請として税込4,500万円以上の工事の指導監督的実務経験を有する者

〇要件③の財産要件につき、下記の全てを満たすこと

(1)欠損の額が資本金額の20%を超えていないこと

(2)流動比率が75%以上であること

(3)資本金額が2,000万円以上であり、かつ自己資本の額が4,000万円以上であること

要件①については、一般許可の場合と要件は変わりません。

また、要件③につき経営再建中の企業は許可更新の場合に限り特例措置が受けれます。

愛知県建設業許可の取得後の注意事項と更新手続き

 そして下記では、建設業許可を取得後の注意点と更新手続きについて説明します。

建設業許可業者に生じる義務

 建設業許可取得後に許可業者に生じる義務は主に下記の3点になります。

(1)毎年決算終了後4ヶ月以内に事業年度終了届を提出する。

(2)届出事項の変更が生じた場合には、一定期限内に変更届を提出する。

(3)5年後の有効期限以降も建設業許可を継続する場合には、許可期限終了の日の3ヶ月前~30日前までに許可更新手続きをする。

 上記の他、建設業の業種を追加する場合には「業種追加」手続き、営業所を他県に移したり他県に追加で営業所を設けた場合には「許可換え新規」手続き、一般許可を受けている者が特定許可を取得する場合には「般・特新規」手続きが必要になります。

 また、建設業許可を受けている個人事業主が法人化する場合や相続をする場合、法人が合併・会社分割をする場合には「認可申請」の手続きが必要になります。認可申請手続きの詳細については、下記記事をご参照ください。

建設業許可の承継について

事業年度終了届の必要書類と手続き

 事業年度終了届は、毎年決算後4ヶ月以内に管轄の建設事務所窓口に提出する必要があります。事業年度終了届の書類作成をする際の必要書類は、下記の通りです。

事業年度終了届の必要書類

・その事業年度の決算書類一式

・事業税の納税証明書

・その事業年度内に終了した建設工事の請負金額や内容がわかる書類

・(定款の変更がある場合)定款又は株主総会議事録

 事業年度終了届を提出には、行政手数料は発生しません。経営事項審査を受ける場合には工事経歴書や注記表の記載内容が異なる場合があるので注意が必要です。

変更届の提出期限

 届出事項に変更が生じた場合には、一定期間以内に変更届を提出する必要があります。変更届の届出事項と提出期限については、下記表の通りです。

届出事項提出期限
商号又は名称の変更事実発生後30日以内
既存の営業所の名称、所在地又は業種の変更事実発生後30日以内
営業所の新設、廃止事実発生後30日以内
資本金額の変更事実発生後30日以内
役員等の変更(就退任、代表者の変更、常勤⇔非常勤、氏名の変更等)事実発生後30日以内
個人事業主の氏名変更事実発生後30日以内
個人事業主の支配人の変更(氏名の変更、就退任)事実発生後30日以内
令第3条に規定する使用人の変更事実発生後2週間以内
経営業務管理責任者、それを補佐する者の変更事実発生後2週間以内
専任技術者の変更事実発生後2週間以内
健康保険等の加入状況の変更事実発生後2週間以内
健康保険等の加入状況のうち従業員数のみの変更毎事業年度経過後4か月以内
経営業務管理責任者が複数いた場合の削除、専任技術者の削除、欠格要件該当事実発生後2週間以内
廃業廃業事由発生から30日以内

許可更新手続きの必要書類と更新期限

 また建設業許可の有効期限は5年間であり、有効期限経過後も許可を維持したい場合には許可期限終了日の3か月前~30日前までに許可更新手続きをする必要があります。

 許可更新をする際の必要書類は下記の通りです。

許可更新手続きの必要書類

・役員全員又は個人事業主本人及び支配人の登記されてないことの証明書

・役員全員又は個人事業主本人及び支配人の身元証明書

・経営業務管理責任者及び専任技術者の健康保険証の写し

・申請時直近の労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書の写し

・雇用保険、健康保険、厚生年金保険の領収書の写し

 許可の更新手続きは、新規申請の場合と同じように仮受付→本申請という流れになります。本申請をする際に行政手数料として50,000円を愛知県収入証紙を購入して納付します。

 また、許可更新の手続きが終わると許可更新申請書の副本が簡易書留にて主たる営業所の所在地に郵送される形になります。許可番号に変更はありませんが、(般-5)のような許可取得年度を表す表記や許可年月日は新しい年月日に変更されますので、金看板やホームページの記載は更新して頂く必要があります。

許可更新手続きを怠るとどうなるか。

 上記更新手続きを怠ると、再度新規で建設業許可申請を行う必要があります。行政手数料の90,000円が再度必要となり、残高証明書等の書類も再度収集する手間が生じてしまいます。詳細に関しては下記記事もご参照ください。

建設業許可の有効期限は?気づいたら切れていた場合の対応方法について

 なお許可更新手続きは、原則有効期限の30日前までとされていますが、その期限に間に合わなかった場合でも例外的に対応してもらえる場合もございます。有効期限間近で手続きにお困りの方は当事務所までご相談ください。

まとめ

 愛知県建設業許可を申請する際の必要書類や手数料、手続きについて説明しました。建設業許可の申請には必要書類の収集や書類作成に多分の時間や手間が掛かります。申請をご検討の方はお早めに準備に取り掛かられた方が良いと思います。

 また、建設業許可を取得してからも遵守するべき手続きがあります。毎事業年度後の事業年度終了届や変更届、5年毎の許可更新手続きを怠らないようにご注意ください。

 当事務所へのお問い合わせやご相談は下記お問い合わせフォームよりお願い致します。

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投稿者プロフィール

start-up22
start-up22
【スタートアップ行政書士事務所 代表/行政書士】
佐野 太一(さの たいち)

2022年3月開業。愛知県あま市にて行政書士事務所を経営。
専門分野は建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、補助金申請。